労災保険の適用事業と適用労働者

適用事業の範囲

原則、労働者を使用している会社は、労災保険の適用事業と考えてください。

適用事業の区分 概要

当然適用事業

農林水産業の一部を除き、1人以上の労働者を使用する事業は全て、強制的に適用事業です。加入や脱退を自由に決めることはできません。

事業主は、保険加入の事実が成立した日から10日以内に、事業所を管轄する労働基準監督署に「保険関係成立」の届出を行わなければなりません。

また、事業主が故意または重大な過失により「保険関係成立」の届出を怠った期間中に発生した事故に保険給付がなされた場合は、その費用の全部または一部に相当する金額を事業主から徴収することとされています。

暫定任意適用事業

農林水産業で、その使用する労働者数が5人未満である個人経営の事業は、一部を除き、当分の間、労災保険の適用を受けるかを任意に選択することができます。

事業主が申請し、認可を受ければ、労災保険の保険関係が成立します。

ただし、労働者の過半数が加入を希望した場合は、事業主はその意思に関係なく加入申請をしなければなりません。

特別加入

中小事業主等は、特別加入をすることができます。

中小企業や事業主、一人親方などは、業務の実態や災害の発生によって生活を脅かされることについては労働者と変わらない場合があり、そのため労働者に準じて労災保険による保護を受けられるように労災保険事務組合などを通じた特別加入制度が設けられています。

適用除外

・国の直営事業

・非現業の官公署


労基法上の労働者は適用される

適用事業に使用されている労働者は、労災保険の適用対象となります。

名称や雇用形態は関係ないので、常用雇用労働者に限りません。

臨時雇、日雇、アルバイト、パートタイマー、嘱託なども含まれます。

ただし、派遣労働者は、派遣元の労災保険が適用されます。

また、建設現場の事故は、元請の責任です。元請の建設会社の労災保険や建設現場で加入する労災保険が適用されます。


パート・外国人にも適用

労災保険は、在留資格のない外国人労働者に対しても適用されます。

労災保険は、被災者の救済と保護を第一の目的としますから、労基署はよほど悪質な労災隠しや重大災害でない限り、入国管理局に通報はしないといわれています。

問題なのは一人親方などの場合で、特別加入の手続きがないと、労災保険が適用されません。

関連事項:特別加入・労働保険事務組合

これと類似のケースで、名目だけ委託(請負)契約の場合がありますが、実態は労働者であることも少なくないので、形式的な契約書にとらわれずに判断されます。労働基準監督署に相談してみるといいでしょう。

関連事項:労働者性→、外国人と社会保険→、パートタイマー

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