職場への配慮
プライバシーを保護しながら周囲に事情を説明する
職場の同僚に知らせるか、否か
本人の利益を考えると、一緒に働く同僚・上司に情報を流した方が良いと判断される場合が出てきます。しかし、プライバシー保護のために、基本的には、当人・家族の意向に従うほかはありません。
職場で引き続いて働く場合には、一般的に、本人の了解を得て直属上司など現場のキーパーソンになる人に伝えるようにします。
一方、同僚などに対して伝えるかは、病名を伝えた場合のメリットとデメリットを本人に説明し、本人に判断させるしかありません。
例えば、通院のために仕事を休むとか、症状のために動作が鈍くなり仕事が遅れる、服薬のため眠気が出て昼寝をしてしまう、などの可能性があれば、厳密な精神科の病名を職場に伝えないとしても、「精神科に通院して服薬を続けている」程度の説明があった方が、同僚などの理解は得やすいといえます。
家族への連絡の仕方
本人に病識があり問題を意識している場合には、職場から家族へ積極的に連絡を取る必要はありません。
しかし、本人に問題意識がない場合は、家族への連絡が必要です。その際、是非とも上司なり人事・労務担当者が電話ではなく、可能な限り直接会って話をすることをお勧めします。その方が職場側の誠意が伝わり、話の行き違いも少なくなります。
説明は事例性が優先され、会社を休んだり遅刻した具体的な回数など、実際に困っている客観的事実だけを伝えることが肝心でしょう。そうすれば、たいていの場合、家族にも思い当たる節があるはずなので、不審に思えば理由を尋ねてきます。この段階になってはじめて、「どうも精神的にお疲れのようです。場合によっては精神科の先生に相談してみてはいかがですか」というように話をもっていくことになります。
この順序を間違えると「夫を精神障害者扱いにして」と家族の感情的な反発をかって、その後の対応がうまくいかなくなります。
すなわち、職場主導で解決に走るのではなく、あくまでも本人や家族をサポートする形で、精神科受診の段取りをつけていくのがコツなのです。