被扶養者とは

被扶養者になれば、被保険者同様、保険給付が受けられる

健康保険では、被保険者本人のほか、その扶養家族に対しても保険給付があります。この扶養家族を「被扶養者」といいます。

健康保険では、被保険者が病気になったりけがをしたりしたときや亡くなった場合、または出産した場合に保険給付が行われますが、その被扶養者についての、病気・けが・死亡・出産についても保険給付が行われます(ただし、傷病手当金等、給付対象外になるものがあります)。


被扶養者の範囲

被扶養者となるのは、日本国内に住所を有する者又は外国において留学をする学生等で日本国内に住所を持たないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの(※国内居住要件等)であって、つぎの要件(1)(2)を満たすものとなります。

(1)同一世帯であることが条件とならない場合

被保険者の直系尊属、配偶者(戸籍上の婚姻届がなくとも、事実上、婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人。

※主として生計を維持されている人とは、必ずしも被保険者と一緒に生活していなくても構いません。一般的には、年収130万円未満(60歳以上は、180万円未満)で、被保険者の年収の2分の1未満のときは、被扶養者になることができます。

(2)同一世帯であることが前提である場合

被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人。

  1. 被保険者の三親等以内の親族((1)に該当する人を除く)
  2. 被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが、事実上婚姻関係と同等の事情にある人の父母及び子
  3. 2.の配偶者が亡くなった後における父母及び子

※収入130万円は、将来に向けての収入をいいますので、過去において130万円を超えた収入を得ていても、今後、その可能性のない人の場合は、扶養者になることができます。

同一世帯でない場合は、年収が130万円未満(60歳以上は、180万円未満)で、かつ、被保険者からの仕送り額(援助額)より少ないことが求められます。


※国内居住要件等について

令和2年4月1日から、「健康保険の被保険者に扶養されている者(被扶養者)」の認定要件に新たに国内居住要件が追加されました。

①国内居住要件の考え方
健康保険法第3条第7項に定める「住所」については、住民基本台帳に住民登録されているかどうか(住民票があるかどうか)で判断し、住民票が日本国内にある方は原則として、国内居住要件を満たすものとされます。

②国内居住要件の例外(海外居住者が被扶養者となる場合)
日本国内に住所がないとしても、外国に一時的に留学をする学生、外国に赴任する被保険者に同行する家族等の一時的な海外渡航を行う者等については、日本国内に生活の基礎があると認められる者として、国内居住要件の例外として取り扱われます。

【国内居住要件の例外となる方】

  1. 外国において留学をする学生
  2. 外国に赴任する被保険者に同行する者
  3. 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的での一時的な海外渡航者
  4. 被保険者の海外赴任期間に当該被保険者との身分関係が生じた者で、2.と同等と認められるもの
  5. 1.から4.までに掲げられるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者

届け出

新たに被扶養者が発生した場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」を、資格取得日(異動日)から5日以内に、事業主が管轄の日本年金機構へ届け出ます。


三親等内の親族一覧

健康保険の被扶養者は、被保険者の三親等以内の親族で、主として被保険者によって生計が維持されていることが条件になります。

三親等内の親族一覧

夫婦共稼ぎの場合の被扶養者の認定

次の1.2.を参考として、家計の実態、社会通念等を総合的に勘案して、被扶養者の認定が行われます。

  1. 被扶養者とすべき者の数にかかわらず、その被扶養者届が提出された日の属する年の前年分の年間収入の多い方の被扶養者とするのを原則とすること。
  2. 夫婦双方の年間収入が同程度である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とすること。

失業保険を受給している場合

失業保険の基本手当日額が3,612円(=130万円÷360日)以上である場合、その基本手当を受けている間、健康保険の被扶養者になることができません。

待機期間や給付制限期間は収入がないので被扶養者の認定を受けることは可能です。

所定給付日数を消化し、無職の状態が続いていれば、すぐ被扶養者の認定を受けることができますので、受給期間満了まで待たずに、手続きを開始した方がよいでしょう。

なお、失業手当の給付を受けている間は社会保険の扶養家族にはなれませんが、所得税に関しては扶養家族となることができます。


内縁関係の場合

内縁というより、見届けの妻の場合、扶養に入れることは可能です。

見届けの妻とは、いつでも婚姻届を出せるけれど、出していない妻、という意味で、たとえば、同棲している男女でも、男に正妻がいる、とか、女に正夫がいる、あるいは、離婚後直後である、というような場合は、同棲中の男女が婚姻届を出したくても受け付けてもらえません。

このような場合は、内縁とはなりません。

見届けの妻であることを証明するのは実際には困難です。逆にそうでないと証明するのも難しいので、特に証明書がなくても、会社に申し出て、承認されれば保険の扶養に入れてもらうことはできるでしょう。

ただし、所得税では、内縁は扶養として認められません。


いわゆる「パラサイト・シングル」の取り扱い

臨時の収入があっても、その額が一定以下なら扶養家族となることができます。

逆に、成人した子がフリーターをしていて、一定程度の年収を得た場合、この者は扶養親族として扱われるかどうかが問題となります。

浪人や学生、フリーターであっても、一定以上の収入があれば、親の扶養にならないばかりか、自分でも税金や保険料を負担しなければなりません。

認定に当たっては、十分な調査が実施されることになります。


夫が定年退職した後

定年退職後の夫が、雇用保険の給付制限期間中は配偶者の扶養に入り、雇用保険が出ている間は国民健康保険、雇用保険の受給期間が終わったら再び扶養、就職できたならばその会社の健康保険に、といった加入の仕方も実は可能です。

さらに扶養が夫婦間なら、被扶養者である間は、国民年金も3号として届け出ることにより、国民年金保険料は無料になります(ただし、国民健康保険加入中は、国民年金1号として国民年金の保険料も納めなければなりません)。


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