規定(例)

退職年金制度の例

第1章 総則

(目的)
第1条
この規程は、従業員の退職について年金支給制度(以下「この制度」という)を実施し、その者またはその遺族の生活の安定に寄与することを目的とする。

(差別取扱いの禁止)
第2条
この制度においては、特定の者につき不当に差別的な取り扱いをしない。

第2章 加入

(適用範囲)
第3条
この規程は、次の各号に掲げる者を除く全従業員に適用する。

  1. 役員
  2. 嘱託
  3. 臨時に期間を定めて雇い入れられる者(臨時雇)
  4. 日々雇い入れられる者
  5. 定年までの予定勤続年数が3年未満の者

(加入資格)
第4条
前条の者は、次に掲げる条件を満たしたときこの制度に加入する資格を取得する。

勤続満1年に達したとき

(加入時期)
第5条
加入資格を取得した者がこの制度に加入する時期は、加入資格取得後最初に到来する○月○日とする。

第3章 給付

第1節 通則

(給付の種類)
第6条
この制度による給付は、次の通りとする。

  1. 退職年金
  2. 退職一時金
  3. 遺族一時金

(給付時期)
第7条
年金は、毎月2月、5月、8月および11月の各10日に、それぞれその前月分までを支給する。

2 一時金は、給付事由発生後1ヶ月以内に支給する。

3 年金および一時金は、あらかじめ給付を受ける者が指定した金融機関に振り込む。

(未支給の給付)
第8条
この制度により給付を受ける者が死亡した場合に、その者に支給すべき給付でまだ支給しなかったものがあるときは、これをその者の遺族(その者が遺族のときは次順位の遺族。以下同じ。)に支給する。

(過払いの調整)
第9条
年金受給中の者が死亡し、遺族の受給手続きの遅延等により年金の過払いが生じたときは、これを遺族に支払うべき年金から差し引き調整する。

(遺族の範囲と支給順位)
第10条
遺族の範囲および支給順位は、労働基準法施行規則第42条ないし第43条の規程を準用する。
ただし、同順位の者が2名以上となる場合には、そのうちの最年長者を代表者としてその者に給付を支給する。

(給付額の端数処理)
第11条
この規程に定める給付額に100円未満の端数が生じたときは、50円以上はこれを100円に切り上げ、50円未満はこれに切り捨てる。

(年金の一時金支給)
第12条
年金の受給資格を取得した者および年金受給中の者(以下「年金受給権者」という。)が次の各号の一に該当する事由により年金の一時金支給を支給を請求し、会社がこれを認めたときは、将来の年金の支給に代えて一時金を支給する。
ただし、請求の時期は、第1号および第2号に該当する場合を除き年金支給開始後3年以内に限るものとする。

  1. 災害
  2. 重疾病、後遺症を伴う重度の心身障害(生計を一にする親族の重疾病、後遺症を伴う重度の新進障害または死亡を含む。)
  3. 住宅の取得
  4. 生計を一にする親族(配偶者を除く)の結婚または進学
  5. 債務の弁済
  6. その他前各号に準ずる事実

2 年金受給権者が死亡し、遺族が年金の一時金支給を請求したときは、年金の支給に代えて一時金を支給する。

3 年金月額が10,000円以下の場合には、年金の支給に代えて一時金を支給する。

4 前各号による一時金の額は、年金月額に、支給期間からすでに年金を支給した期間(以下「残余期間」という)に応じて付表に定める率を乗じて得た額とする。

第2節 退職年金

(受給資格)
第13条
加入者が次に掲げるところに該当したときは、その者に退職年金を支給する。

勤続20年以上で定年により退職したとき

(給付額)
第14条
退職年金額(月額)は、次の通りとする。

基準給与に別表1に定める支給率を乗じた額

(支給期間)
第15条
支給期間は、退職した月から10年間とする。

2 前項に定める支給期間が満了する前に年金受給権者が死亡したときは、遺族に残余期間引き続き同額の年金を支給する。

第3節 退職一時金

(受給資格)
第16条
加入者が次に掲げるところに該当したときは、その者に退職一時金を支給する。
ただし、退職年金に該当する場合を除く。

  1. 勤続3年以上で定年により退職したとき
  2. 勤続3年以上で定年に達する前に会社の都合により退職したとき
  3. 勤続3年以上で定年に達する前に自己の都合により退職したとき

(給付額)
第17条
退職一時金は、次の通りとする。

  1. 前条第1号および第2号に該当したときは、基準給与に別表2に定める支給率を乗じた額
  2. 前条第3号に該当したときは、基準給与に別表2に定める支給率および別表3に定める乗率を乗じた額

第4節 遺族一時金

(受給資格)
第18条
加入者が次に掲げるところに該当したときは、その者の遺族に遺族一時金を支給する。

  1. 勤続3年以上で定年に達する前に業務上死亡退職したとき
  2. 勤続3年以上で定年に達する前に業務外死亡退職したとき

(給付額)
第19条
遺族一時金額は、次の通りとする。

  1. 前条第1号に該当したときは、基準給与に別表2に定める支給率を乗じた額
  2. 前条第2号に該当したときは、基準給与に別表2に定める支給率および別表3に定める乗率を乗じた額

第4章 拠出

(掛金の拠出)
第20条
この規程に定める給付の財源にあてるため、会社は、適正な年金数理に基づき算定された掛金を全額負担する。

(通常掛金)
第21条
通常掛金は、各加入者の基準給与の2.5%相当額(月額)とする。

(過去勤務債務等の額の償却に係る掛金)
第22条
過去勤務債務等の額の計算は、一括管理方式による。

2 過去勤務債務等の額の償却は、法人税法施行令第159条第6号ロの定めによるものとし、その償却割合は、年100分の10とする。

3 前項の掛金は、各加入者の基準給与の1.5%相当額(月額)とする。

(拠出の中断)
第23条
加入者が休職を命ぜられたときは、会社は、休職となった月の翌月から復職した月まで当該加入者に係る掛金の拠出を中断する。

第5章 制度の運営

(制度の運営)
第24条
会社は、この制度を運営するために、法人税法第159条に定める要件を備えた企業年金保険契約および年金信託契約を退職年金業務を行う法人との間に締結する。

(企業年金保険契約の締結)
第25条
会社は、前条に基づき、この規程に定める金額の50%相当の給付に充てるため、次に掲げる法人と企業年金保険契約を締結し、第21条および第22条に基づく掛金の50%相当額を払い込む。

○○○○生命保険相互会社

2 会社は、企業年金保険契約に係る付加保険料を全額負担する。

(年金信託契約の締結)
第26条
会社は、第24条に基づき、この規程に定める金額の50%相当の給付に充てるため次に掲げる法人と年金信託契約を締結し、第21条および第22条に基づく掛金の50%相当額を払い込む。

○○○○信託銀行株式会社

(財政計画の再検討)
第27条
会社は、少なくとも5年ごとにこの制度の財政計画を再検討し、必要に応じてその修正を行う。

(留保すべき金額を超える額の処理)
第28条
前条に定める財政計画の再検討時において、保険料積立金および信託財産のうち法人税法施行令第159条第7号に定める留保すべき金額を超える部分がある場合には、会社は当該超える部分の金額の返還を受けこれを収受する。

第6章 雑則

(受給権の処分禁止)
第29条
この制度により給付を受ける権利は、これを譲渡し、または担保に供することはできない。

(届出)
第30条
この制度により給付を受ける者は、次の各号に掲げる書類を提出しなければならない。

  1. 住所、氏名および印鑑についての届
  2. 年金または一時金受領方法についての届
  3. 受給権者であることを証明する書類
  4. 所得税法に定める必要な申告書類
  5. その他、会社が必要と認めた書類

2 前項により届け出た事項に変更があったときは、すみやかにその旨を届け出なければならない。

(期間の計算)
第31条
この規程における勤続年数は、次に定める方法により計算する。

  1. 受給資格算定のための勤続年数は、入社した日から退職した日までのうち、1年未満の端数月を切り捨てた年数とする。
  2. 給付額算定のための勤続年数は、入社した日から退職した日までのうち、1ヶ月未満の端数日を1ヶ月に切り上げた年数とする。

2 次に掲げる期間は、前項の勤続年数に算入しない。

  1. 定年を超えて勤続する場合その期間
  2. 休職期間

3 次に掲げる期間は第1項の勤続年数に算入する。

  1. 試用期間

(基準給与)
第32条
この規程において基準給与とは、賃金規程第○条に定める基本給および加給の合計額とする。

2 掛金額算定の基礎となる基準給与は、毎年○月○日現在のものを翌年の○月末まで適用し、給付額算定の基礎となる基準給与は、退職時のものとする。

(制度の改廃)
第33条
この制度は、社会保障制度の状況、経済情勢等の変動に応じて、その一部または全部を改訂または廃止することができる。

2 この制度が廃止された場合、第24条に定める退職年金契約に基づく保険料積立金および信託財産は次に定めるところにより配分する。

  1. 企業年金保険契約に基づく保険料積立金は、制度廃止日に加入者が退職したものとしたときの勤続年数に比例して、各加入者に配分する。ただし、年金受給者に対する給付に必要な積立金は、これを配分することなく当該年金受給者に継続して年金の支給を行う。
  2. 年金信託契約による部分については、年金受給者に対して制度廃止後支給すべき年金の現価額を限度としてその割合に比例した信託財産を配分し、なお残余がある場合は、残余の信託財産を制度廃止日に加入者が退職したものとしたときの勤続年数に比例して各加入者に配分する。

付則

(制度実施日)
第1条
この制度は、平成○年○月○日から実施する。

(経過措置)
第2条
この制度実施日にこの規程第4条に定める加入資格を有する者は、第5条にかかわらず、この制度実施日に加入するものとする。

別表1

勤続年数(年) 支給率(%) 勤続年数(年) 支給率(%) 勤続年数(年) 支給率(%)
20 12.7 27 18.3 34 23.9
21 13.5 28 19.1 35 24.7
22 14.3 29 19.9 36 25.5
23 15.1 30 20.7 37 26.3
24 15.9 31 21.5 38 27.1
25 16.7 32 22.3 39 27.9
26 17.5 33 23.1 40 28.7

(注)1年未満の端数月がある場合の支給率の計算方法

A年Bヶ月の支給率=A年の支給率+[(A+1)年の支給率-A年の支給率]×B/12、ただし、小数点以下第2位はこれを4捨5入し、小数点以下第1位まで算出するものとする。

別表2

勤続年数(年) 支給率(%) 勤続年数(年) 支給率(%) 勤続年数(年) 支給率(%)
3 1.50 16 8.75 29 18.50
4 2.00 17 9.50 30 19.25
5 2.50 18 10.25 31 20.00
6 3.00 19 11.00 32 20.75
7 3.50 20 11.75 33 21.50
8 4.00 21 12.50 34 22.25
9 4.50 22 13.25 35 23.00
10 5.00 23 14.00 36 23.75
11 5.60 24 14.75 37 24.50
12 6.20 25 15.50 38 25.25
13 6.80 26 16.25 39 26.00
14 7.40 27 17.00 40 26.75
15 8.00 28 17.75 - -

(注)1年未満の端数月がある場合の支給率の計算方法

A年Bヶ月の支給率=A年の支給率+[(A+1)年の支給率-A年の支給率]×B/12、ただし、小数点以下第2位はこれを4捨5入し、小数点以下第2位はこれを4捨5入し、小数点以下第1位まで算出するものとする。

別表3

勤続年数 乗率(%) 勤続年数 乗率(%)
3年以上5年未満 20 15年以上25年未満 60
5年以上10年未満 30 25年以上 100
10年以上15年未満 50 - -

付表

年金に代える一時金算出のための年金現価率

(省略)


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