生活保護の種類と範囲
生活保護の概要
国が定めている基準(保護基準)によって計算された世帯の最低生活費と、対象者の世帯の収入とを比べて、収入の方が少ないときに、その足りない分を保護費として支給します。
- 保護基準・・・年齢や家族構成などによって金額(扶助費)が決められています。
- 最低生活費・・・その世帯の生活に必要な扶助費を合計したものです。
- 扶助費の種類・・・私たちが生活をしていく上でいろいろな経費が必要です。生活保護ではその経費を8種類に分けて給付します。
(1) | 生活扶助 | 衣食など日常の生活のための費用(年齢により基準額が異なる) |
(2) | 住宅扶助 | 家賃、地代、家屋の補修などの費用(地域別に異なる、家賃には上限あり) |
(3) | 教育扶助 | 義務教育上必要な学用品、通学用品、学校給食費など |
(4) | 介護扶助 | 介護にかかる費用(直接事業者に支払います) |
(5) | 医療扶助 | 医者にかかるための費用(直接医者に支払います) |
(6) | 出産扶助 | 出産のための費用 |
(7) | 生業扶助 | 仕事をするために必要な資金や技能修得費など |
(8) | 葬祭扶助 | 葬祭のための費用 |
一時的な扶助
それぞれに限度額や決まりがあります。必ず前もって地区担当員(ケースワーカー)に相談してください。
- 小・中学校の入学時など
- 常におむつが必要なとき
- 保護の開始時や長期の入院から退院するときなどで、衣服や布団、食器などがないとき
- 病院へ行ったり、仕事を探したりするために交通機関を利用するとき
- やむを得ない理由で転居するのに、敷金や引っ越し費用がいるとき
- 林間学校などの校外活動で参加費が必要なとき
- 家を修理しなければならないとき
- 就職のために服や靴が必要なとき、など
各種加算
世帯員の状況や年齢などに応じて、扶助費が加算されます。
- 妊産婦加算・・・産婦は6ヶ月を限度に支給
- 母子加算・・・母子・父子家庭に支給。児童の人数により加算
- 障害者加算・・・障害の程度に応じた加算。介護人の加算もあります
- 介護保険料加算・・・介護保険の被保険者に対する保険料分の加算
- その他加算・・・児童養育加算や在宅で栄養補給の必要な患者への加算、など
生活保護世帯に対する減免措置
生活保護を受けると次のような減免措置等が受けられます。
種類 | 申請手続 | 手続窓口 | 備考 |
---|---|---|---|
住民税 | 生活扶助以外の扶助の場合は減免申請が必要です | 市区役所および町村役場 | 生活扶助を受けると自動的に非課税扱いになります |
個人事業税 | 申請が必要です | 地方県事所および県税事務所 | 所長が必要と認めた場合は免除となります |
固定資産税 | 申請が必要です | 市区役所・町村役場 | 町村役場 各市町村の条例により、減免となる場合があります |
心身障害者扶養共済掛金 | 生活困窮により、掛金の納付が困難な場合は免除となります | ||
国民年金保険料 | 生活扶助以外の扶助の場合は減免申請が必要です | 生活保護(生活扶助)を受けると納付が免除となります | |
JR通勤定期券の割引 | 申請が必要です | 福祉事務所 | 通勤定期乗車券が3割引きで購入できます |
NHK放送受信料 | 全額免除となります |
収入
働いて得た収入(賞与などの臨時収入を含む)、仕送り、各種手当、年金、保険金、補償金、借金(福祉事務所が認めていないもの)など、対象者の世帯に入った全てが対象者の世帯の収入となります。
ただし、働いて得た収入については勤労控除という規則があり、収入がまるまる保護費から引かれることはありません。
年金を受給している場合は、これとの差額が支給されます。ただし、障害年金が1、2級の受給者については、障害者加算が上乗せされます。
不正な受給
働く能力があるのに、働かないで保護を受けようとすることはいけないとされています。
しかし、これは、病気が悪くなるほど無理をして働けということではありません。
収入をきちんと申告しなかったり、うその申告で生活保護費を受けた場合は、その生活保護費を返還してもらうとともに、場合によっては3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。
病気やけがで医者にかかるとき
病気やけがなどで医者にかかるときは、福祉事務所が発行する「医療券」が必要になります。
受診前に必ず福祉事務所に届け出てください。急病、夜間等で届け出ができない場合は、受診後速やかに届け出てください。
病気が治ったとき、入院・退院するとき、転院するときは、ただちにそのことを福祉事務所に届け出てください。
また、同じ病気で異なる医療機関を受診するときは、前もって地区担当員(ケースワーカー)に相談してください。
生活保護を受けると、国民健康保険証、障害者医療証、母子家庭医療証、乳幼児医療証、老人保健法医療受給者証(ただし、被用者保険の本人及び被扶養家族は除く)などは使用できませんので注意してください。
ただし、会社等の健康保険の被保険者証、共済組合員証をお持ちの方は、そのまま使用できますので、持っている方や新たに取得された方は地区担当員(ケースワーカー)に連絡してください。
介護が必要になったとき
生活保護を受けている方で介護が必要な状態になったときは、まず、地区担当員(ケースワーカー)に相談してください。
介護保険制度は、介護が必要な状態に応じた「介護度」を判定し、その介護度に見合った在宅での訪問介護(ホームヘルパー)や短期入所生活介護(ショートステイ)などの介護サービスや施設での介護を提供するというものです。
介護サービスを利用しようという方は、まず、介護度を判定しなければなりません。申請すると訪問調査員がご家庭を訪問し、調査します。その後主治医の意見等を参考に介護認定審査会で介護度が決定されます。
介護度には7段階あり、介護保険での介護サービスを受けることができない「自立」、施設利用ができない「要支援」、その後「要介護1~5」と数字が大きくなるにつれてより多くの介護サービスが提供されます。
介護保険では40歳以上の老化による特定の疾病(例えば脳血栓や慢性関節リウマチなど)の方も対象となります。
よく分からない方、介護サービスを利用しようと考えている方は地区担当員(ケースワーカー)、または介護保険の窓口で相談してください。
なお、介護保険は65歳以上のすべての方と40歳から64歳までの社会保険に加入している方を被保険者とした保険制度で、毎月の保険料を支払えない方には生活保護の制度から給付されます。
40歳から64歳までの健康保険等に加入していない方は、生活保護の中で介護保険と同等の介護サービスが受けられます。