定年制
雇用期間の自働終了
「定年制」とは、労働者が一定の年齢に達したときに労働契約が終了する制度のことをいいます。
就業規則に定める定年制が労働者の定年に達した翌日をもってその雇用契約は自動的に終了する旨を定めたことが明かであり、且つ従来この規定に基づいて定年に達した場合に当然労働関係が消滅する慣行となっていて、それを従業員に徹底させる措置をとっている場合は、解雇の問題は生ぜず、したがってまた労働基準法第19条の問題を生じない。
(昭和26.8.9 基収第3388号)
このため、定年退職が明確でない場合、例えば「60歳に達したときは定年により退職する。ただし、重役会議の議を経てそのまま継続して使用する場合がある」と就業規則に規定されているような場合は、「契約が自動的に終了するものと解されないから、労働基準法第20条の解雇の予告を必要とする。(昭和22.7.29 基収2649号)」とした解釈例規もあります。
60歳未満の設定は無効
高年齢者等の雇用の安定に関する法律第84条では、事業主が定年の定めをする場合には、「当該年齢は、60歳を下回ることができない」と規定し、60歳以上の定年制を義務づけています(ただし、坑内作業の業務は除かれます)。
なお、高齢者雇用安定法が60歳未満の定年を禁止した以前の就業規則を改定しておらず、いまだに55歳定年などが残っている場合は、自動的に定年年齢が60歳に読み替えられることはありません。
その定めは無効となり、定年の定めがないことになります。
そのままで、60歳に達した従業員を退職させたなら、それは定年退職ではなく、解雇したことになるのです。
また、解雇と定年では、雇用保険などの取り扱いも違いますから、後日問題となる可能性もあります。