雇用保険の不服申立
保険給付に不服があるとき
都道府県労働局に置かれている雇用保険審査官に不服申立(審査請求)をすることができます。
不服申立は、決定の通知を受けてから3ヶ月以内にしなければなりません。
審査官の決定に対し、さらに不服がある場合は、労働保険審査会に再審査請求をすることができます(決定の日から3ヶ月以内)。
それでも納得がいかなければ、行政訴訟を起こすことになります。
審査請求をする
職安の裁定に、どうしても許容できないなら、後は次のような流れになります。
審査請求
失業等給付に関する処分に不服があるとして、「雇用保険審査官」に審査請求します。
文書でも、口頭でもどちらでもよいです。
「雇用保険審査官」は都道府県の労働局にいると思いますが、「審査請求をしたいので、最寄の雇用保険審査官のいる場所を教えて下さい」とハローワークの職員に尋ねるとよいでしょう。
再審査請求
審査請求の結果(審査請求に対する決定書の謄本が送付されます)に不服がある場合、または、審査請求した日の翌日から起算してが「3ヶ月経過」しても決定が無い場合、「労働保険審査会」に再審査請求します。
文書のみで、口頭は不可です。
審査請求の謄本が送付された日の翌日から起算して「3ヶ月以内」にしなければなりません。
裁判
審査請求、再審査請求を経て初めて、司法による裁判になります。
上記の審査請求・再審査請求はあくまで行政手続きです。
この段階では、「処分の取り消しの訴えの提起」を行うことになります。
この段階は個人では無理です、弁護士さんが必要です。
雇用装い、失業給付3300万円詐取の疑い 都内の会社
東京都内の会社が約50人に対し、雇用したように装って失業給付金を申請させ、計約3300万円をだまし取った疑いがあることが厚生労働省東京労働局の調べでわかった。
申請者の一人は「勧誘されてやったが、1円も受け取っていない」と話す。
東京や大阪など各地で大量申請されており、同労働局は悪質で組織的な詐欺行為とみて告訴を検討している。
不況が続く中、求職活動中の人を対象にした失業給付の受給者数は高水準にあり、03年度は月約84万人が受給した。学生らを使って給付金をだまし取ったとして札幌市の会社経営者らが昨年4月に逮捕されるなど不正も起きている。
登記簿によると、都内の会社は、コンピューターソフトの開発などを目的に99年、資本金1000万円で台東区に設立され、現在は新宿区にある。
労働局や関係者によると、同社を退職したとする約50人が03年春から04年秋にかけ、東京や大阪、埼玉など5都府県20カ所の職業安定所で失業給付を申請。計約3300万円が支払われた。
千葉県の60代の女性は03年夏、知人男性に「小遣いになる仕事がある」と誘われた。銀行口座を開いて通帳とカードを男性に渡すと、会社に在職していたことを示す雇用保険被保険者証を渡され、「1年間庶務をしていた」と職安で説明するよう言われた。
職安側から厳格な確認はなく、約60万円の給付金が口座に振り込まれた。しかし、直後に金は引き出されていた。女性は「軽い気持ちだったが、申し訳ないことをした」と悔やむ。別の申請者2人も労働局の調べに対し、同趣旨の説明をしているという。
労働局は外部からの通報を受けて04年秋から調査を始めた。登記上代表取締役になっている男性は「アルバイト募集の広告を見て入社したら、取締役の男に『代表取締役に名前を貸してくれ』と頼まれた。給付金のことは知らない」と話したという。
会社の所在地として登記されているマンション管理組合の関係者は朝日新聞の取材に対し、「同社は1年ほど前に強制退去させた。移転先はわからない」と話した。
実質経営者とみられる取締役の男は所在が分からない状態で、労働局は7月初めに警視庁に連絡し、詐欺容疑での告訴を検討している。
同社は99年に事業所設置届を職安に出したものの、02年まで従業員の雇用・解雇の届け出はほとんどなかったという。
大量の虚偽申請を防げなかった点について労働局は「各地の職安にバラバラに申請があり、書式に不備もなかったので困難だった」としている。
(asahi.com 2005.7.21)