退職年金設計のポイント(規約型企業年金を中心に)

導入手続き

退職年金制度は重要な労働条件の一つであり、制度の導入や内容については、労使間で十分に協議し、労使の合意のもとに手続きを進めることが重要です。

協議を行う際は、議事録はその都度きちんと作成しておかなければなりません。

従業員の代表者の場合は、代表者の選出方法についても、事業主の指名ではなく、従業員の投票や挙手など合理的な手続きにより選出をしたか否かが問われます。

また、受託機関である信託会社や生命保険会社と十分に協議することも大切なことです。

規約等の申請書類の内容を確認し、労使合意が得られれば、地方厚生局へ申請書類を提出し、規約の承認を申請します。

申請は、適格退職年金のように幹事会社に一任する間接的な方法は認められず、企業自らが直接に申請しなければなりません。


適用範囲

原則として企業と雇用関係のある全ての従業員を加入させなければなりませんが、役員(従業員兼務役員を除く)、臨時・日雇いは除外しなければならず、また、試用期間中の者、嘱託、準社員、従業員兼務役員は除外することもできます。


加入資格

  • 入社後直ちに加入させる方法
  • 勤続年数で制限する方法(例えば、「勤続年数3年以上」など)
  • 年齢で制限する方法(例えば「年齢25歳以上」など)
  • 勤続年数と年齢で制限する方法(例えば「勤続年数3年以上で年齢25歳以上」など)

給付

年金の種類を大きく分類すると次のようになります。

給付 年金給付 老齢給付
遺族給付
障害給付
一時金給付 脱退一時金(加入期間により年金が受けられない者)
遺族一時金
選択一時金(本人の選択による)

年金の受給資格

勤続年数(加入期間)、年齢、退職事由またはこれらの組み合わせにより決めることができますが、受給資格年数は20年を超えてはいけません。

本人の選択により、年金給付に代えて一時金を支給することができます。


年金の支給開始年齢

支給開始年齢は、原則として、60歳から65歳の範囲で年金規定に定める必要があります。

少なくとも60歳に達するまでは、資金を引き出せないことなどは、よく理解してもらわなければなりません。

この範囲で、次のような決め方も考えられます。

  • 公的年金の上乗せとなるように、厚生年金保険の特別支給開始年齢である60歳にあわせる。
  • 基礎年金の支給開始年齢にあわせる。

年金の支給期間

有期年金 一定の期間、本人の生存を要件として支給
終身年金 本人が生存している期間は支給
保証期間付有期年金 有期年金で、支給期間の全部又は死亡保証期間を付けたもの(期間終了前に本人が志望した場合は、遺族に残余の期間支給)
保証期間付終身年金 終身年金に保証期間を付けたもの

※支給期間は、支給開始年齢から少なくても5年以上としなければなりません(厚生年金基金制度では終身支給)。


年金額の水準

退職後の生活水準、公的年金の給付水準、企業の負担能力等を総合的に勘案して決めることになります。


掛金の拠出

掛金は事業主負担が原則ですが、本人の同意を前提に年金規約の定めにより、本人も拠出し、年金給付水準を厚くすることができます。

ただし、掛金には限度額があります。


掛金の区分

標準掛金

今後の勤務期間に見合う給付に充てるための掛金


補足掛金

過去勤務債務の償却に充てるための掛金など

※過去勤務債務掛金とは、年金制度発足前の勤務期間を給付額算定の期間に算入することにより、年金制度の給付額が増加するために発生する必要原資。


制度間の移行

確定給付型の制度間の移行

規約型と基金型間、厚生年金基金から規約型や基金型へ、制度を移行し、年金資産を移管することができます。

確定拠出年金制度への移行

規約型、基金型の年金資産を個人ごとに分配し、確定拠出年金(企業型)へ移管することができます。

適格退職年金の取り扱い

2002年4月以降、適格退職年金の新規発足はできなくなりました。

2012年3月までは、10年間の経過期間が設けられ、既存の適格退職年金制度は他の企業年金に移行することになりました。


積み立て不足の扱い

適格退職年金から確定拠出年金への移行で厄介なのは、積み立て不足の扱いです。

不足が残る場合は、移行時に企業の資金で一括拠出して穴埋めするか、適格退職年金の給付を減額し、解約によって返還される額の一部で残る不足分を充当するかの方法によって処理しなくてはならなくなります。

しかし、移行時に一括拠出して穴埋めするのは、企業に重い負担がかかります。

給付減額による穴埋めは、不利益変更に抵触するおそれがあり、リスクが生じます。従って、あらかじめ加入員の同意を得ておく必要があります。


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