保険金の支払い請求

保険料の全額を会社が負担していても、従業員側の請求権も

会社全額負担の総合福祉団体的保険(旧Aグループ保険)の場合、使用者は多額の保険金を受領しながら、遺族にはその保険金を支払わず、またはわずかな金額しか支払っていない等の問題が発生することがありました。

しかし、当該保険の保険金の受取人は従業員の遺族であり、企業が当該従業員の死亡によって被る経済的損失補償(代替者の採用や育成費用など)として保険金を受け取るためには、「ヒューマンバリュー特約」を付加しておく必要があります。

御船運輸事件 大阪高裁 平成15.11.27

会社が掛け金を負担した団体傷害保険につき、会社が受け取った5000万円の保険金のうち、死亡した従業員の遺族に支払うべき金額は3500万円が相当。

住友軽金属事件(団体定期保険第2)事件 名古屋高裁 平成14.4.26 名古屋地裁 平成13.3.6

会社は生命保険会社との間で団体定期保険契約を結んでいた。保険料に従業員負担分はなく、全額会社負担であった。

従業員が脳梗塞や癌により死亡したため、会社はこの保険契約に基づき、死亡保険金として計6,120万円を受け取った。

原告(従業員の遺族)は保険金全額の支払いを求めたが、会社から拒否されたため、訴訟に及んだ。

判決

遺族側勝訴(請求の一部認容)社会的に妥当な金額3,000万円を支払うべき。

会社は被保険者である従業員(とその遺族)の利益を目的として保険契約を結んでいる。

裁判所は、社内規定による給付がこの保険額を上回れば社内規定を履行すればことたりるが、社内規定が保険金額を下回る場合は、その差額分を保険金から支払うことを意味内容として含むと解釈した。

また、控訴審では遅延損害金について商事法定利率(年6%)が認められた。


ページの先頭へ