確定拠出年金制度
制度の概要
確定給付型企業年金が、運用収益のいかんにかかわらずあらかじめ給付額が確定しているのに対して、確定拠出年金は、企業や個人が拠出する掛金はあらかじめ決められていますが、給付額はその運用収益によって異なってきます。
特徴
- 拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、個人別の確定拠出年金口座で積み立てられる
- 掛金の運用方法については加入者が自分自身の判断で決定し、運用指示を行う
- 年金給付額は、掛金とその運用収益との合算額を基に決定される
拠出された掛金を、預貯金・公社債・投資信託・株式・保険などの運用商品から加入者が自己責任において選択し、運用指図を行います。給付額は、掛金とその運用収益との合計額を基に決定されます。
また、拠出された掛金は個人ごとに明確に区分され、資産残高(掛金と運用収益の合計額)は個々の加入者ごとに記録・管理されます。加入者が転職した場合には、転職先の制度に年金資産が移管されます。
確定拠出年金には、企業型年金と個人型年金があります。
企業型年金
- 対象者
- 60歳未満の企業従業員。
ただし、労使合意による「一定の資格(職種・勤続年数・年齢・希望の有無)」を定めることもできる。
一定の資格を設けたときは、加入者とならない者に対して代替措置を講じることが必要。
この措置に基づき、企業型年金と退職金前払い制度との選択制を取った場合に、使用期間が3年未満の者については、その者に係る事業主掛金相当分を事業主に返還させることができるとされている。 - 実施
- 労使合意により「確定拠出年金規約」を設定する。
- 運用
- 企業が資産管理機関を選任し企業が拠出した資金を運用する一方で、従業員が拠出した資金を従業員の指図により運用する。
個人型年金
- 対象者
- 自営業者、企業型年金等を実施していない企業の60歳未満の従業員、および国民年金の第3号被保険者
- 運用
- 各々が拠出した資金を国民年金基金連合会または運営管理機関を選任し運用を行います。
企業型年金、個人型年金ともに、給付は老齢給付金・障害給付金・死亡一時金です。また、拠出期間が3年以下であって一定の要件に該当する場合には、脱退一時金が受給できます。
老齢給付金の支給要件(支給請求できる年齢と通算加入期間関係)は、以下の通りです。
(1) | 60歳以上、61歳未満の者 | 10年以上 |
(2) | 61歳以上、62歳未満の者 | 8年以上 |
(3) | 62歳以上、63歳未満の者 | 6年以上 |
(4) | 63歳以上、64歳未満の者 | 4年以上 |
(5) | 64歳以上、65歳未満の者 | 2年以上 |
(6) | 65歳以上の者 | 1月以上 |
拠出・運用・給付に係る税制は、次の通りです。
拠出段階 | 非課税。企業が拠出した掛金額は、全額損金算入します。 |
運用段階 | 年金資産には特別法人税が課税されます(ただし、平成31年度末までは課税が凍結されています)。 |
給付段階 | 年金給付の場合は、公的年金等控除が適用されます。一時金の場合は退職所得控除が適用されます。 |