社会保険のケースごとの対処法

事業主が健康保険料を滞納している場合

事業主が健康保険料を滞納していても、保険料の納付は事業主の責任であるので、労働者(被保険者および被扶養者)は保険給付(保険診療や現金給付)を受けられます。


社会保険の資格取得届の提出が遅れた場合

健康保険および厚生年金保険の保険料を源泉徴収できるのは、前月分だけであり(月末退職のときは前月分と当月分)、数ヶ月分の保険料を控除することはできません。(健康保険法第78条、厚生年金保険法第84条)

しかし、労働者はその保険料に関し、事業主に対して債務を負うことになるので、その支払い方法を労使で話し合うことが必要です。


育児休業中の保険料

育児休業期間中は、申し出により、申し出のあった月から健康保険料および厚生年金保険料が免除されます。

また、特別保険料についても、同様に免除されます。

免除期間は、事業主が申出書を提出した日の属する月から、申出書記載の育児休業終了予定日の翌日に属する月の前月までとなります。

なお、免除された期間は、健康保険や厚生年金保険の給付において、保険料を納めた期間と同様に取り扱われます。

関連事項:育児休業の社会保険の免除

関連事項:介護休業の社会保険との関係


従業員を雇用した際に注意すべきこと

従業員を雇用した際、事業主は健康保険へ加入させる手続きをとります。

加入手続きを怠った場合、労働者は、保険者に対して被保険資格得喪の確認請求(健康保険法21条の2)を行うことができます。

試用期間中という理由で健康保険の被保険者にしない場合であっても、労働者は、被保険資格得喪の確認請求を行うことができます。

健康保険の被保険者になっているかどうかは、健康保険証が交付されているか、給与明細書の「健康保険料」欄で健康保険料が徴収されているかで、労働者は判断することができます。

関連事項:試用期間中の労働保険・社会保険


退社の際に注意すべきこと

退職等のため被保険者資格を失うと、5日以内に健康保険証を返納することになっています。

国民健康保険に加入するためには、保険者の資格喪失証明が必要ですが、この手続きには健康保険証を返納する必要があります。

しかし、退職にあたり使用者が賃金不払いがある場合や解雇予告手当を支払わない場合、健康保険証を直ちに返納するのは考えものです。

こうした使用者が資格喪失証明の手続きを速やかに行うとは考えにくいからです。

賃金や解雇予告手当が支払われ、資格喪失証明の手続きを速やかに行う約束を取り付け、保険証を使用者に返納することも考えるべきでしょう。


解雇の効力を争う場合の被保険者資格

解雇の効力を争い、係争中の場合の被保険者市資格喪失の取り扱いについては、仮給付の通達があります。(昭和25.10.9. 保発68号)

なお、厚生年金保険の被保険者資格の取り扱いについても同様です。

資格喪失届の扱い

解雇の効力について係争中の場合でも事業主から被保険者資格喪失届の提出があったときは、資格を喪失したものとして処理されます。

ただし、解雇が労働法規または労働協約に明らかに違反しているときは受理されないことになっています。

資格喪失の処理の取消

従業員としての地位を仮に定めるとの仮処分決定が出された場合、従業員としての地位を確認する判決が確定した場合、不当労働行為救済命令が確定した場合は、当該判定に従い遡及して資格喪失の処理が取り消されることになります。

したがって、日本年金機構または保険組合に対して資格喪失の処理を取り消して保険給付を行うよう求めることになります。

日本年金機構の対応が心許ない場合は、同じ請求を都道府県社会保険事務局と厚生労働大臣宛に送付し、請求が看過されることを防ぎます。


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