在職中死亡したときの退職金

第1順位は配偶者(内縁を含む)

民法上では、内縁の妻には相続権がなく、実父母が優先することになっていますが、退職金の場合、これとは異なる取り扱いがされます。

労働基準法施行規則に従えば、法律上の配偶者が最優先となり、次が内縁上の事実上の配偶者、さらに生計を一にしていた子・父母等の順になります。

労働基準法施行規則第42条

遺族補償を受けるべき者は、労働者の配偶者(婚姻の届出をしなくとも事実上婚姻と同様の関係にある者を含む。以下同じ。)とする。

(2)配偶者がない場合には、遺族補償を受けるべき者は、労働者の子、父母、孫及び祖父母で、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた者又は労働者の死亡当時これと生計を一にしていた者とし、その順位は、前段に掲げる順序による。

この場合において、父母については、養父母を先にし実父母を後にする。

労働基準法施行規則第42条の「事実上婚姻と同様の関係にある者を含む」ということの意味は、法律上の妻がいないときのことであって、法律上の妻がいるときは、やはり法律上の妻が優先する。(昭和23.5.14 基収第1642号)

労働基準法施行規則第43条

前条の規定に該当する者がない場合においては、遺族補償を受けるべき者は、労働者の子、父母、孫及び祖父母で前条第2項の規定に該当しないもの並びに労働者の兄弟姉妹の順序により、兄弟姉妹については、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた者又は労働者の死亡当時その者と生計を一にしていた者を先にする。

(2)労働者が遺言又は使用者に対してした予告で前項に規定する者のうち特定の者を指定した場合においては、前項の規定にかかわらず、遺族補償を受けるべき者は、その指定した者とする。

労働基準法施行規則第44条
遺族補償を受けるべき同順位の者が2人以上ある場合には、遺族補償は、その人数によって等分するものとする。

労働基準法施行規則第45条
遺族補償を受けるべきであった者が死亡した場合には、その者にかかる遺族補償を受ける権利は消滅する。

(2)前項の場合には、使用者は前3条の規定による順位の者よりその死亡者を除いて、遺族補償を行わなければならない。

労働者が死亡したときの退職金の支払について別段の定めがない場合には民法の一般原則による遺産相続人に支払う趣旨と解されるが、労働協約就業規則等において民法の遺産相続の順位によらず、施行規則第42条、第43条の順位による旨定めても違法ではない。

従って、この順位によって支払った場合はその支払いは有効である。(昭和25.7.7 基収第1786号)

次の判例も、退職金の受給権は民法上の相続人ではなく、退職金規定に定められた受給権者に受給権があるという見解をとっています。

福岡工大事件 最高裁 昭和60.1.31

退職金規程によれば、「死亡退職金の支給を受ける遺族は、
(1)職員の死亡の当時主としてその収入により生計を維持していたものでなければならず、
(2)第1順位は配偶者があるときは子は全く支給を受けない、
(3)直系血族間でも親等の近い父母が孫より先順位となる、
(4)嫡出子と非嫡出子が平等に扱われる、
(5)父母や養父母については養方が実方に優先する、ということになる。

すなわち、・・・・・死亡退職金の受給権者の範囲及び順位につき民法の規定する相続人の範囲及び順位決定の原則とは著しく異なった定め方としているのであり、これによってみれば、右規程の定めは、専ら職員の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とし、民法とは別の立場で受給権者を定めたもので、受給権者たる遺族は、相続人としてではなく、右規程の定めにより直接これを自己固有の権利として取得するものと解するのが相当である。

なお、死亡退職金とは異なり、定期払いの賃金等は、労働者が労働したことによって既にその権利を取得していたわけですから、その労働者が死亡した場合は相続財産となるものと考えられます。

また、内縁の妻等に支払われた退職金は、民法上は相続財産ではありませんが、税法上は内縁の妻等が相続によって取得したものとみなされます。(相続税法第3条)


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