タイムレコーダーとの関係

タイムレコーダーと労働時間の開始時点

労働法上での労働時間は、当事者の指揮命令下にあるか否かで判断されますが、民事法上では、労働時間の始点をどこで定めるかは、当事者の決め方によります。

民事法上での始業時間を「タイムレコーダーの打刻時点」と決めれば、そのときまだ実際には仕事に着手していなかった(≠労働法上の労働時間)としても、民事上では労働時間の開始となります。

逆にみれば、タイムレコーダーを打刻していれば始業時間開始後に職場に到着してもいいということは、当然に成立するわけではない、ということになります。(日野自動車工業事件 東京地裁八王子支部 昭和55.6.16)

タイムレコーダーは多量の人員の労働時間管理のために導入されるものであり、この打刻時間が「遅刻」の判断や「賃金カット」の基準となることが慣例とされていることによって、打刻時間による労働時間管理に合理性が生じることになります。

したがって、労働時間の開始時間はあくまでも仕事の開始時間だが、会社は便宜上、タイムカードの打刻時間を基準として賃金カットの手続をとる、という二重の基準が同時に成り立つのです。


タイムレコーダーと労働時間の終了時点

タイムレコーダーの不正打刻は、懲戒解雇事由と成り得ます。

八戸鋼業事件 最高裁 昭和42.3.2

(1)会社は不正打刻については解雇をもって望む旨、従業員に周知していた。

(2)この警告を知りながら無視して不正打刻を行った。

このことは、懲戒解雇の事由となりうるとの見解を示し、最高裁は解雇無効とした原審を差し戻した。

ところで、実際の労働時間の終了時間とタイムカードの打刻時間は異なることが普通です。

労基法では、労働時間を把握・算定する義務は使用者に課せられるとしています。

所定の労働時間の直後にタイムカードが打刻されていれば、事実上の労働時間は所定の終業時刻までだと推定できます。

タイムカードの打刻と終業時刻の差が小さい

タイムカードの打刻と終業時刻の差が小さい

※定時に仕事が終了したものと推定できる。


しかし、タイムカードの打刻が終業時刻後相当遅くなって打刻されているような場合は、その時間は仕事以外のことをしていたと使用者が立証できないならば、タイムカード打刻時刻近くまで労働していたものと取り扱わなければならないとされます。(三晃印刷事件 東京地裁 平成9.3.13、日本コンベンションサービス事件 大阪高裁 平成12.6.30)

タイムカードの打刻と終業時刻の差が大きい

タイムカードの打刻と終業時刻の差が大きい

※労働時間が続いていたものと推定される。


ただし、使用者の方で時間外労働の手続が明確に定められていて、それが遵守されている場合、例えば、時間外労働は時間外勤務命令簿によるとか残業申告書や残業の承認カード制によるなどの手続が確立されている場合、正当な手続がなされないまま残業したならば、それは恣意的な居残りだと判断され、労働時間とはならないと考えられます。

こうしたケースでは、タイムカードは単なる入・出門の記録にすぎないといえます。


記録の保存

タイムカードなどの記録は3年間保存する

国は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」を策定し、以下により労働時間の適正管理を求めています。

(1) 労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること(使用者自らが現認するほか、タイムカードやICカードなど客観的な記録を基礎として確認・記録すること)
(2) 自己申告制により時間管理を行う場合には、対象労働者に、労働時間の正確な記録、適正な自己申告について十分な説明を行い、申告時間と実態が合致しているか否かについて必要に応じて実態調査を実施すること
(3) 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと

また、労働時間の記録は、賃金決定の要素となるため、3年間は保存するようにしましょう。

労働基準法第109条(記録の保存)

使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。


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