宿直

宿直は週1回が限度、手当は賃金の3分の1以上

労働基準法41条は、監視または断続的労働に従事する者で労働基準監督署長の許可を受けた者については、労働基準法第4章、第6章および第6章の2に定める労働時間、休憩および休日に関する規定は適用しない旨定めています。

宿日直勤務もここでいう「監視または断続的労働」に該当します。

したがって、宿日直勤務については、8時間以上労働させてはならない(労働基準法32条)とか、週1回休日を与えなければならない(労働基準法34条)とか、週1回休日を与えなければならない(労働基準法35条)とかいう規定が適用されませんから、36協定をしなくても宿日直勤務をさせることができ、また宿日直勤務に対して割増賃金を支払う必要もないということになります。

ただし、そのためには労働基準監督署長の許可を受けなければなりません。

許可を受けない以上、宿日直勤務はやはり時間外労働として取り扱われ、36協定の締結および割増賃金の支払いが必要です。

宿直回数については、週1回、日直勤務については月1回を限度とすることとなっています。

また、宿日直手当については、その事業所において宿日直に勤務をする可能性がある労働者の割増賃金基礎額の3分の1を下らないものとされています。

断続的な宿直又は日直勤務の許可基準

労働基準法施行規則第23条に基づく断続的な宿直又は日直勤務のもとに、労働基準法上の労働時間、休憩及び休日に関する規定を適用しないこととしたものであるから、その許可は、労働者保護の観点から、厳格な判断のもとに行われるべきものである。宿直又は日直の許可にあたっての基準は概ね次のとおりである。

1 勤務の態様

イ 常態として、ほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるものであり、定時的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するものであること。

ロ 原則として、通常の労働の継続は許可しないこと。したがって始業又は終業時刻に密着した時間帯に、顧客からの電話の収受又は盗難・火災防止を行うものについては、許可しないものであること。

2 宿日直手当

宿直又は日直の勤務に対して相当の手当が支給されることを要し、具体的には次の基準によること。

イ 宿直勤務1回についての宿直手当(深夜割増賃金を含む。)又は日直勤務1回についての日直手当の最低額は当該事業場において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われている賃金(法第37条の割増賃金の基礎となる賃金に限る。)の1人1日平均額の3分の1を下らないものであること。
ただし、同一企業に属する数個の事業場について、一律の基準により宿直又は日直の手当額を定める必要がある場合には、当該事業場の属する企業の全事業場において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者についての1人1日平均額によることができるものであること。

ロ 宿直又は日直勤務の時間が通常の宿直又は日直の時間に比して著しく短いものその他所轄労働基準監督所長が右イの基準によることが著しく困難又は不適当と認めたものについては、その基準にかかわらず許可することができること。

3 宿日直の回数

許可の対象となる宿直又は日直の勤務回数については、宿直勤務については週1回、日直勤務については月1回を限度とすること。
ただし、当該事業場に勤務する18歳以上の者で法律上宿直又は日直を行いうるすべてのものに宿直又は日直をさせてもなお不足でありかつ勤務の労働密度が薄い場合には、宿直又は日直業務の実態に応じて週1回を超える宿直、月1回を超える日直についても許可して差し支えないこと。

4 その他

宿直勤務については、相当の睡眠設備の設置を条件とするものであること。

(昭和22.9.13 発基17号)

宿日直の許可は、1度受ければ勤務内容等に相当の変更がない限り許可を受け直す必要はありません。(昭和23.9.20 基収第2320号)

しかし、宿日直手当の額については、決定後の昇給や賃金ベースの上昇等により賃金額が上昇した場合に、いつまでも据え置いておけば、最低基準を下回ることになります。

仮にその時点で宿日直の許可を受けるとすれば、手当額が低いという理由で許可されないことになります。

このため、労働基準監督署では、「宿日直手当については将来においても宿日直勤務予定者に対して支払われている賃金の1人1日平均額の3分の1を下らないようにすること」という条件を付した許可書を出しています。

社会福祉施設の場合

一般の場合と同様、常態としてほとんど労働する必要がない勤務のみが許可対象となります。(昭和49.7.26 基発387号)

宿直回数の週1回原則の例外についても、「労働密度が薄く労働者保護に欠けるおそれがないと認められる場合に限り例外を認めうる」とされています。(昭和49.7.26 基監発27号)

マンナ運輸事件 神戸地裁 平成16.2.27

原告と被告との間の労働契約の内容として、原告を深夜勤務に従事させないとの勤務時間限定の合意が成立しており、被告は、原告の個別の同意なくして深夜勤務に従事させることはできず、深夜勤務を常態とする部署に原告を配置転換する本件配転命令は、原告が同意していない以上、その効力を有しない。

また、仮に、被告が原告を深夜勤務に従事させることができるとされる場合にも、本件配転命令には、

(1)業務上の必要性はなく

(2)原告が被告を労基署に内部告発したり権利主張することに対して疎ましく感じ、制裁を課する動機、目的による人事であったと推認できる

(3)原告にとって社会通念上甘受すべき程度を著しく超える不利益を課するものであることから、無効である。


仮眠時間の取り扱い

平成14年2月28日、最高裁にて大星ビル管理事件の判決が出されました。

ビルの巡回を行う従業員が、勤務時間中に与えられていた仮眠時間(1勤務につき8時間)について、時間外勤務手当・深夜就業手当の支給を求めた案件です。

なお、同社は、労働基準法41条の3・労働基準法施行規則23条の監視・断続労働の許可を取ってはいませんでした。


仮眠時間は労働時間である

何事もなければ眠っていることができる時間帯だといっても、仮眠時間は労働からの開放が保障された休憩時間とはいえず、会社の指揮命令下にある労働時間だと判断されました。

このため、労働時間のシフト作成にあたっては、仮眠時間も含めて週40時間以内に収まるよう留意しなければなりません。

労働時間である以上、法定の時間外割増+深夜割増の支払いが必要

変形労働時間制を採用していたとしても、法定時間外となる場合があり得るので、それらの時間に対応する法定の割増賃金を支払わなければなりません。

不活動の仮眠時間については、実作業時間よりもある程度低い賃金額を設定することが可能ですが、その場合には、賃金規定等にその趣旨を明記する必要があります。

割増賃金分を含めて一定の手当を支払うこともできます。

ただし、この場合は、当該手当が割増賃金分を含むことを、あらかじめ労働契約に明示しておかなければなりません。

また、手当額は、法定の割増賃金額を上回っている必要があります。


社会福祉施設に対する許可基準

社会福祉施設の場合

社会福祉施設における宿直勤務について、一般の宿直勤務の場合と同様に常態としてほとんど労働する必要のない勤務のみを許可の対象とし、昼間の通常の労働の継続勤務延長である場合には宿直として許可すべき限りでないことは、昭和22年9月13日付け発基第17号により示されているとおりであるが、その許可に当たっては、左記のとおり(下記の基準)により取り扱われたい。

1 社会福祉施設における宿直勤務については、次に掲げる条件のすべてを満たす場合に、労働基準法施行規則第23条による許可をあたえるよう取り扱うこと。

(1) 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。

(2) 夜間に従事する業務は、前記通達(昭和22年9月13日付け発基第17号)一般の宿直業務のほかは、少人数の入所児・者に対して行う夜尿起こし、おむつ取替え、検温等の介助作業であって、軽度かつ短時間の作業に限ること。

したがって、夜間における児童の生活指導、起床後の着衣指導等通常の労働と同態様の業務は含まれないこと。

(3) 夜間に十分睡眠がとりうること。

(4) 上記以外に、一般の宿直許可の際の条件を満たしていること。

2 社会福祉施設に保母等が住み込んでいる場合、単にこれをもって宿直として取り扱う必要はないが、これらの者に前記通達で示されている一般の宿直業務及び上記1の(2)の業務を命ずる場合には、宿直業務として取り扱うことを要するものであること。

(昭和49.7.26 基発第387号)

さらに、社会福祉施設の場合の留意点ということで、厚生労働省から次の通達が出されています。

昭和49年7月26日付け基発第387号をもって通達された「社会福祉施設における宿直勤務許可の取扱いについて」の運用に当たっては、下記の見解に留意されたい。

(通達の性格)
1 社会福祉施設の宿直許可の基準は、施設の特殊性からして特例を認め通達したものか。

(見解)
社会福祉施設における宿直許可の取扱いについては、従前示されていた一般の宿直許可基準のみでは明確でないので、その取扱いの細部を明らかにしたものであって特例を認めたものではない。

(軽度かつ短時間の作業)
2 本通達に示された「軽度かつ短時間の作業」とは、どの程度の作業をいうのか。

(見解)
「軽度」とは,おむつ取替え、夜尿起こしであっても要介護者を抱きかかえる等身体に負担がかかる場合を含まず、「短時間」とは、通達に示された介助作業が一勤務中に1回ないし2回含まれていることを限定として、1回の所要時間が通常10分程度のものをいうものであること。

(事例1)
3 養護老人ホームで所定就業時間(8時から17時まで)終了後下記のような断続的勤務がある場合、おむつ取替えの時間(20時から21時)と着衣等介助、掃除の時間(6時から8時)は労働時間とし、これらの時間を除く17時から8時までを宿直とすることはできないか。

事例1

17時まで 所定就業時間
17時から19時まで 見廻り(約10分)、宿直室で待機
19時から20時まで 宿直室で待機
20時から21時まで おむつ取替え
21時から6時まで 宿直室で睡眠
6時から8時まで 掃除、着衣等介助
8時から 所定就業時間

(見解)
設問のごとく、常態的に毎晩おむつ取替えが1時間ある場合は、所定就業時間終了後(17時)から宿直とすることは認められない。

宿直は、通常の労働から完全に解放された後のものであり、したがって、この場合は、21時以降6時までが宿直許可の対象とされる。

4 上記の場合、睡眠時間中に老人の急病等のため介助することがあるが、その場合は如何に取り扱うべきか。

(見解)
労働基準法第33条又は労働基準法第36条に基づく時間外労働の手続きを行わなければならず、また、その時間に対応する時間外労働及び深夜業に対する割増賃金を支払わなければならない。

なお、このような介助作業が度々(たびたび)ある場合には、宿直の許可が与えられないこととなるので、交替制等の勤務体制が必要となること。

(昭和49.7.26 基監発27号)


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