改正労働基準法解説レポート
令和5年4月1日から、月60時間超の割増賃金率の引き上げが中小企業にも適用となります。
法改正による新制度の導入方法について、詳しく解説したマニュアルを無料提供しています。
サンプル条文や改訂例を参考に、就業規則の改訂を行ってください。
みなし労働制と時間外労働
休日労働・深夜労働をさせる場合
「みなし労働時間制を採用しているので、休日や深夜にも自由に労働させてもいい」という議論は通用しません。
みなし労働時間適用の社員が休日(または深夜)に労働した場合は、休日(深夜)割増による賃金を支払わないと、労働基準法違反になります。
このため、休日労働と深夜労働については許可制にする方がいいでしょう。
時間外労働と営業手当
就業規則に「所定労働時間労働したものとみなす」と規定し、みなし労働制を適用した営業社員が、月20~30時間の時間外労働をした場合は、これに相当する額以上の営業手当が必要となります。
そうでないと「時間外労働に対して所定の割増賃金を支給していない」ことになり、労働基準法に抵触します。
裁判例でも、外勤手当に時間外割増が含まれていると主張するためには、手当が何時間分の割増賃金に相当するかが分かるように、手当のうちの割増賃金相当部分とそれ以外の部分とを明確に区別することを要するとしています。(国際情報産業事件 東京地裁 平成3.8.27)
したがって、「営業社員が通常どのくらい時間外労働しているか」をよく勘案して、営業手当の額を決定すべきです。
深夜割増や休日割増は支払う
みなし労働時間を適用される場合でも、深夜労働や仕事が労基法上の休日にかかる場合は、「みなし労働時間」は適用されません。
もともと「みなし労働」は、労働時間の把握が困難であるため、所定労働時間働いたものとみなす、という取り決めですから、深夜や休日まで働くことを前提としたものではないのです。