年少者の労働時間の制限

「児童」の労働

原則、労働者としての使用は禁止です。


「児童」の労働例外

満13歳以上の場合

下表以外の事業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、労働が軽易なものであれば、満13歳以上の児童も就学時間外に使用することができます(労働基準監督署長の許可が必要です)。

(1) 物の製造、改造、加工、修理、洗浄、選別、包装、装飾、仕上げ、販売のためにする仕立て、破壊若しくは解体又は材料の変造の事業(電気、ガス又は各種動力の発生、変更若しくは伝導の事業及び水道の事業を含む。)
(2) 鉱業、石切り業その他土石又は鉱物採取の事業
(3) 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
(4) 道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業
(5) ドック、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱いの事業

満13歳未満の場合

原則的に就労させることはできません。

演劇子役についての例外

いわゆる「演劇子役」=映画の制作又は演劇の事業については、満13歳に満たない児童についても同様に就学時間外に使用することが認められます。

この場合、就学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を所轄の労働基準監督署に提出の上、監督署長の許可を得ることが必要です。(労働基準法56条第2項)

上記例外によって、就学時間外にも就労は可能となる場合はありますが、使用できるのは、就学時間外のみとなります。

ただし、15歳以下の児童の場合、就学時間+労働時間(稽古や衣装替えを含む)が1週間に40時間、1日7時間を超えてはなりません。(労働基準法60条

就労が学業や健康に悪い影響を及ぼすおそれがあると認められる場合、学校は就労を差し控えるよう指導することとされています。

賃金の直接払い

例外的に使用する場合、児童であっても賃金は直接本人に支払われなければなりません。(労働基準法59条

なお、保護者に対しては、「送迎」「就労時間中の食事」「十分な睡眠時間」などの配慮が求められます。


「児童」の深夜業は禁止

児童を例外規定により使用する場合でも、午後8時以降午前5時までは深夜業とされますので、使用できません。

満13歳~義務教育期間の場合

軽易な作業であって、

  • 厚生労働大臣が認める場合で
  • 地域又は期間を限ったうえで、

「午後9時以降午前6時まで」を深夜業とみなすことができます。

いわゆる「演劇子役」以外の義務教育終了前の児童については、従来どおり8時までしか仕事をさせることができません。

満13歳未満の場合

映画の制作又は演劇の事業については、

  • 厚生労働大臣が認める場合で
  • 地域又は期間を限ったうえで、

「午後9時以降午前6時まで」を深夜業とみなすことができます。

時間帯 満13歳未満 満13歳以上
義務教育期間
満16歳以上
~満18歳未満
満18歳以上
午前5時(※)

午後8時
映画の制作又は演劇の事業の場合であれば可能(労働基準監督署長の許可を要する) 製造、建設等以外の事業の場合であって、有害でなく、かつ、軽易なものは可能(労働基準監督署長の許可を要する) 就業可 就業可
午後8時

午後9時
映画・演劇で、厚生労働大臣が地域又は期間を限って必要と認めれば可 軽易な事業で、厚生労働大臣が地域又は期間を限って必要と認めれば可 就業可 就業可
午後9時

午後10時
就業不可 就業不可 就業可 就業可
午後10時

午後11時
就業不可 就業不可 厚生労働大臣が地域又は期間を限って必要と認めれば可 就業可
午後11時

午前5時(※)
就業不可 就業不可 就業不可 就業可

※厚生労働大臣の許可を得て、夜間の就労可能時間を延長する場合には、午前6時となります。


時間外・休日労働

36協定を締結した場合でも、18歳未満の年少者に時間外または休日労働を行わせることはできません。(労働基準法60条

法定内残業や法定外の休日労働は可能です。

休日を振り替えることもできます(あらかじめ振替日を特定する必要はあります)。

ただし、週40時間を超えられないので注意が必要です。

また、「後日代休を与えるから」という名目で休日に労働させることは、実際に代休が与えられたとしても、許されません。

時間外・休日労働の例外

災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合、非現業の官公署で公務のため臨時の必要がある場合、時間外・休日労働を行わせることができます。

割増賃金が必要です。


深夜業の禁止

年少者(18歳未満)の深夜労働(午後10時~午前5時)は禁止されています。(労働基準法61条

ただし、厚生労働大臣の許可があれば、この時間を午後11時~午前6時に変更できます(地域又は期間限定)。

児童(15歳以下)については、上記を参照願います。

深夜業の禁止の例外

(1) 16歳以上18歳未満の男子を交替制で使用する場合には、深夜業が認められる。(労働基準法61条1項)
※ここでいう交替制とは、同一労働者が一定期日ごとに昼間勤務と夜間勤務に交替につく勤務態様をいう。
(2) 事業全体として交替制をとっている場合には、労働基準監督署の許可を受けて、年少者を午後10時30分まで使用することができる(労働基準法61条3項)。
(3) 災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合で、労働基準監督署の許可を得た場合は年少者の深夜業が認められる(労働基準法61条4項)。
(4) 自然的条件により深夜業を必要とする農林の事業、畜産・水産・養蚕の事業、事業の性質上公衆の不便を避けるために深夜業を必要とする保健衛生の事業、電話交換業務については深夜業が認められる。

深夜業が禁止されている年少者に深夜業をさせた場合の割増賃金

違法な深夜労働を命じた場合においても、使用者には、深夜割増賃金の支払義務があるのは、当然です。

これを支払わない場合は、年少者の深夜業禁止規定(労働基準法61条1項違反)のほか、労働基準法37条違反の二罪が成立することとなります。

(罰則は、いずれも6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金です。)


変形労働時間制適用の制限

年少者(18歳未満)は、変形労働時間制・フレックスタイム制により労働させることができません。

変形労働時間制適用の制限の例外

(1) 1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮することを条件に、他の日(1日とは限らない)の労働時間を10時間まで延長する。
(2) 1週間について48時間以下の範囲、1日について8時間を超えない範囲で、1ヶ月および1年単位の変形労働時間制を適用すること。

労働基準監督署の就業許可を条件に例外的に使用可能です。

ただし、児童については前述の制限があります。


罰則

年少者の労働時間・休日および深夜業の規制に対する違反は、労働基準法32条労働基準法35条労働基準法61条違反として、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金になります。

いわゆる芸能タレントの労働者性については、次のいずれにも該当する場合には、本条(労働基準法9条)の労働者ではない。

(1)当人の提供する歌唱、演技等が基本的に他人によって代替できず、芸能性、人気等当人の個性が重要な要素となっていること。

(2)当人に対する報酬は、稼働時間に応じて定められるものではないこと。

(3)リハーサル、出演時間等スケジュールの関係から時間が制約されることはあっても、プロダクション等との関係では時間的に拘束されることはないこと。

(4)契約形態が雇用契約ではないこと。

(昭和63.7.30 基収第355号)

演劇の子役出演、夜9時までOK 厚労省審議会が答申

子役の芝居が夜9時まで楽しめます――厚生労働省の労働政策審議会は16日、演劇での15歳未満の子役の出演時間を、現行の「午後8時まで」から1時間延長する労働基準法の例外規定について、尾辻厚労相に妥当と答申した。05年1月から実施される。

労基法は義務教育修了前の児童、生徒を労働者として使うことを禁じているが、例外として演劇と映画制作は午後8時まで認められている。

大臣が必要と認める場合は同9時まで可能だが実例はなく、今回初めて演劇で規制緩和する。

これまでは午後8時以降に子役が出演できず、大人が代演するなどしてきた。そのため日本演劇興行協会は構造改革特区内での子役の時間延長を求めていたが、政府は3月に閣議決定した規制改革・民間開放推進3ヶ年計画に「延長措置」を盛り込んでいた。

子役や歌手などでも、厚労省が「歌唱、演技などが他人によって代替できず、人気がある」などを基準に判断し、「自営業者」とみなした場合は労基法の規制は受けない。「モーニング娘。」などがこれにあたる。

(asahi.com 2004.11.16)

特区で子役の出演時間延長なるか 担当相と厚労省が激論

ミュージカルや映画撮影で、午後8時までとなっている子役の出演時間を午後10時まで延長する構造改革特区構想をめぐり、政府内で激論が戦わされている。

「芸術を志す子供のために」と構造改革特区推進室や文化庁は構想を後押しするが、厚生労働省は「年少者の保護の観点から不適当」と真っ向から反対している。

自ら「モーニング娘。特区」と命名し、実現を目指す鴻池担当相は近く、坂口厚労相と直談判に乗り出す構えだ。

「夜間の塾通いは認めて、演劇はダメというのは不合理だ」。

8月25日の政府の総合規制改革会議。「就寝時間が遅くなり、教育に影響が出る」と主張する厚労省側に、改革会議の委員はこう食ってかかった。

15歳未満の労働を禁じている労働基準法の例外措置として、演劇や映画の分野では午後8時までの活動を認めているが、それ以降は子役の出演は認められず、「夜の部」は大人が代演するなどしている。

このため横浜市と日本演劇興行協会が6月にそれぞれ「子役特区」を提案。午後10時までの延長を求めた。

厚労省は知名度がある歌手やタレントなど「主役」については、「労働者よりも自営業者の色彩が強い」との理由で、現状でも午後8時以降の出演を認めていると説明。

「端役は強制的に働かされる可能性がある」と反対の姿勢を崩さない。

一方、政府の特区室や規制改革会議は「芸術を志す子供にとって、過剰な規制で才能が生かされないデメリットの方が大きい」。

文化庁も「芸術振興につながる」と子役特区を高く評価。河合隼雄長官も、坂口厚労相への構想実現申し入れを検討している。

(asahi.com 2003.9.2)


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