代休と振替

振替休日と代休の違い

定義 振替休日 代休
意味 あらかじめ定めてある休日を、事前に手続きして他の労働日と交換すること。
休日労働にはならない。
休日に労働させ、事後に代わりの休日を与えること。
休日労働の事実は変わらず、帳消しにはならない。
要件 (1)就業規則、労働協約等に「業務上やむを得ない事由がある場合には、休日を他の日に振り替えることがある」といった規定を設けておくこと。
(2)振替日は事前に特定すること
(3)振替は4週間の範囲内
(4)遅くとも前日の勤務時間終了までに当該の労働者に通知すること。
特になし。
ただし、制度として行う場合には、就業規則等に具体的に記載が必要
(代休を付与する条件、賃金の取扱い等)
賃金 同一週内で振り替えた場合、通常の賃金の支払いでよい。
週をまたがって振り替えた結果、週法定労働時間を超えた場合は、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要。
休日労働の事実は消えないので、休日労働に関する割増賃金の支払いが必要(36協定が不可欠)。
代休を有給とするか無給とするかは、就業規定等の規定による。

代休と振替休日

仕事の都合などで休日に働かなければならなくなった時の措置として「代休」と「振替休日」があります。

代休のケース

代休は、休日に労働させた代償として別の労働日を休日として与えることをいいます。

代休を与えても休日労働したことになりますから労働基準法上の35%割増賃金を支払わなければならず、時間外労働協定(36協定)も必要となります。

例えば、時間あたりの賃金が1,500円の社員に8時間の休日労働を命令した場合、会社は次の通り割増賃金を払わなければなりません。

割増分を含む賃金=1,500円×1.35×8時間=16,200円

この場合に、その社員が代休を取得した場合、次の賃金を控除することになります。

賃金控除=1,500円×8時間=12,000円

したがって、差額の4,200円を支給する必要があります。

仮に代休を与えたのが、1月の賃金計算期間であるとすると、1月分の賃金は16,200円を支払い、2月分の賃金からは12,000円が控除されることになります。

1月分の賃金に差額の4,200円を積めば同じ結果となりますが、これは、賃金全額払い原則に違反します。

代休付与が賃金計算期間内でなければ、こうした面倒が生じます。

なお、労働者が希望した日に代休を取得することは、就業規則等に規定があってはじめて可能です。

振替休日のケース

一方、休日振替は、労働義務のない日として定められた休日を事前に労働義務のある労働日に変更し、その代わりに他の労働日を休日に振り替えることをいいます。

休日を振り替えるためには、就業規則の規定が必要です

※規定がなければ、個別に同意を求めなければなりません。

就業規則等においてできる限り休日振替の具体的事由と振り替えるべき日とを規定することが望ましい。

(昭和23.7.5 基発968号、昭和63.3.14 基発150号)

就業規則において休日を特定したとしても、別に休日の振替を必要とする場合休日を振り替えることができる旨の規定を設け、これによって休日を振り替える前にあらかじめ振り替えるべき日を特定して振り替えた場合には、当該休日は労働日となり、休日に労働させることにならない。

(昭和23.4.19 基収1397号、昭和63.3.14 基発150号)

休日の振替は事業所全体でなければならないと思っている人もいますが、労働者個人単位に行っても何ら差し支えありません。

休日振替を行うためには、振替日を事前に労働者に通知しておくことが必要となりますが、1週1日または4週4日の法定休日の要件を満たせば、休日が労働日に変更されても休日労働になりませんので、割増賃金の支払いや時間外労働協定の締結も必要となりません。

振り替えたことにより、労働日となった休日の週が何曜日から何曜日までを1週間とするかは、就業規則等の定めによります(定めがない場合は日曜~土曜日)。

振替により労働日となった日を欠勤した者に対しては賃金カットすることができます。

三菱重工業横浜造船所事件 横浜地裁 昭和55.3.28

昭和49年4月11日(木)・12日(金)に交通ゼネストが予定されていたため、造船所では両日の操業が困難になると判断し、この日を休日に振り替え、13日(土)・14日(日)を出勤日とした。

これを不服とした従業員が13日・14日に出勤しなかったため、賃金をカットした。

裁判所は、就業規則に振替規定があるし、業務上の必要性も認められるので、労働者の同意がなくても、その振替が違法・無効であるとはいえないとした。


法定休日の特定と週所定労働時間

法律では、就業規則で法定休日を特定することを要求していません。

したがって、「休日は毎週1回とし、毎月はじめに指定する」と規定したとしても違法とはいえません。

ただし、法定以外の休日であっても、その休日の労働によって、週の労働時間が法定労働時間(40時間)を超えるときは、25%増しの割増賃金が必要とされます。

法定の休日は週1日ですから、週休2日制の場合の2回の休日のうち1日については、法定の休日とはなりません。

よって、この日に労働させたとしても、法律で定められた休日労働にはあたらないことになります。

例えば、週休2日で土日休みの場合、1日6時間勤務であるところ土曜日も仕事をさせたとしても、

6時間×6日=36時間、ですから、法定時間外は生じませんが、

同じ休日設定で、1日7時間勤務なら、

7時間×6日=42時間、となり2時間分の時間外が発生することになります。


振替えの際に週の法定労働時間超過を注意する

同一週内での休日に振替えでは問題とならないが、他の週に休日の振替えを行うと、振替え先の週で法定労働時間をこえる場合があります。振替の結果、週法定40時間を超えた場合は時間外労働として割増賃金が必要です。

休日振替の結果、就業規則で1日8時間又は1週40時間を超える所定労働時間が設定されていない日又は週に、1日8時間又は1週40時間を超えて労働させることになる場合には、その超える時間は時間外労働となる。

(昭和63.3.14 基発第150号)

具体的には、週40時間労働で、週(週の開始日は「日曜」であることに注意)のうち土日が週休二日だった場合、土曜の休日を前倒しして同一週の別の日に振り替えて取らせる分には割増賃金は発生しませんが、翌週のどれかの日を指定して振り替えると、翌週は48時間労働になって、割増賃金の支払いが必要となります。

(振替前)

振替前

(振替後)

振替後

※週法定労働時間を超えることになる

実務的には、2回の休日のうちどちらが法定の休日として取り扱うか明確にしておく方が便利です。

あるいは、2日の休日について、まったく同じ扱いとしておけば問題は起こらなくなります(35%以上増しの休日手当を支払うとしておけば、解決できます)。

なお、1週間は何曜日から何曜日までを指すかについては、就業規則労働協約等により決められますが、特段の決めがない場合、日曜日を起点とした1週間となります。

労働基準法第32条第1項の1週間とは就業規則その他に別段の定めがない限り、日曜日から土曜日に至る1週間である。

(昭和24.2.5 基収4160号、昭和63.1.1 基発1号)

建設業の雨天休日

外で労働する場合、雨天は仕事になりません。

この場合は休日と振り替えて、雨天の日を休日とすることもできます。

ただし、就業規則にその旨の規定を設けておくことが必要です。(昭和23.4.23 基発651号、昭和33.2.13 基発90号)


休日振替の留意点

就業規則等に休日振替の規定をしておくこと

労働契約上の根拠なく、一方的に休日を労働日にすることは認められませんので、振替規定が必要となります。


振替えるべき日を特定すること

事前に振替えるべき日を特定しなければ、休日労働の扱いとなります。また、できる限り接近した日に振り替えらることとされています。


4週間以内に振り替えること

労働基準法第35条で定められている基準を下回らないよう、休日振替を行う場合も4週間4日以上の休日を確保しなければなりません。


少なくとも前日の勤務終了時刻以前に通知すること

休日振替を所定休日以前に繰り上げて実施する場合は、繰り上げによって休日となる前日に通知しなければなりません。


振替先の労働時間が40時間を超えれば割増賃金を払う

休日を振り替えたことによって、振替先の週の労働時間が法定の40時間を超えた場合は、その超過分の割増賃金を支払わなければなりません(振替先が同一週なら、この問題は生じません)。


会社独自の休日の振替

法定休日ではない会社独自で設けた休日については、年間を通じた振替が可能です。

ただし、1年を超える振替は認められません。


残業の積立と割増賃金

1日あたりの時間外労働を積み立てていって7時間に達すると1日の代休を与えて充当するという取り扱いが行われることがあります。

積み立てる残業部分が、「法定時間内」のものであれば問題ないのですが、これが1日8時間、週40時間を超える法定の時間外労働の場合には、25%増しの支払いが義務付けられているので、割増部分の25%について、振替によって相殺することは許されなくなります。

別途、賃金による清算が必要です。


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