有給休暇とは

要件

労働者が6ヶ月以上継続勤務し、かつ全労働日の8割以上出勤したとき当然に生じる(労働基準法39条)もので、労働者の請求を待って初めて生じるものではありません。

それをどのように利用するのかも労働者の自由です。

労基法39条違反となる使用者の行為は、以下のようなものが該当します。

  • 時季変更権を行使する正当な事由がないのに時季変更を求めた場合
  • 労働者の指定した日に出勤を命じた場合
  • 休暇を与えた場合でも所定の賃金支払日に年休取得に係る日の賃金を減額して支給する場合

違反に対する罰則は6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金となっており、年休に対する賃金の支払を行わない使用者に対しては、労働者の請求に基づき裁判所は付加金の支払を命ずることができる( 労働基準法114条)とされています。


年次有給休暇の付与日数

上記要件を満たした場合、勤務開始後6ヶ月経過で、10労働日の有給休暇が発生します。

その後は、継続勤務期間が1年増えるごとに、下表の日数の有給休暇日数となります。

ただし、過去1年間の勤務実績が8割に満たない場合は、その後1年間有給休暇は付与されません。

例えば、6ヶ月勤務し有給休暇を10日付与された者でも、次の1年間の出勤率が8割に満たなければ付与されるはずの11日分はゼロになります。しかし、その後の1年間の出勤率が8割を超え、2年6ヶ月目を迎えると、12日分(勤続年数でみるため11日ではありません)が付与されることになります。

関連事項:出勤率の計算

勤続年数 6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上
付与日数 10 11 12 14 16 18 20

※週所定労働時間が30時間以上、または、週所定労働日数が5日以上か1年の所定労働日数が217日以上の場合


パートの年次有給休暇の付与日数

アルバイト・パートタイマーなどの名称にかかわらず、半年以上継続勤務(勤務実績8割以上)した従業員に対しては、有給休暇が付与されます。

これは、企業の大小を問いません。

パートタイマーなどの週所定労働時間が30時間未満の労働者に対して比例付与される年次有給休暇の日数は下表の通りです。

勤続年数
所定労働日
6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月
以上
週:4日
年:169~216日
7 8 9 10 12 13 15
週:3日
年:121~168日
5 6 6 8 9 10 11
週:2日
年:73~120日
3 4 4 5 6 6 7
週:1日
年:48~72日
1 2 2 2 3 3 3

※例えば、1日の所定労働時間が4時間のパートタイム労働者は、1日分の有給休暇も4時間として計算されます。

その日に1時間でも出勤していれば、その日は「1労働日の出勤」として出勤率に算定されます。

なお、上記比例付与は、通常の労働者の週所定労働日数を5.2日として、端数切り捨てにより算出されています。

一般の労働者同様の有給休暇日数となる場合

週5日勤務であれば、1日の所定労働時間が少なくて、週30時間未満となる場合でも、通常の休暇日数となります。

週4日勤務であっても、週所定労働時間が30時間以上なら、通常の休暇日数となります。

週4日勤務で、所定労働時間が30時間未満であっても、1年間の所定労働日数が217日以上なら、通常の休暇日数となります(ただし、週4日だと年217日には達しません)。

勤務日が年間指定であり、217日以上あれば、所定労働時間にかかわらず、通常の休暇日数となります。

管理監督者にも適用されます

労基法第41条に該当する管理監督者にも、労基法第39条の年休制度は適用されます。

(昭和22.11.26 基発第389号)

有期雇用者にも適用される

短期の有期雇用を更新している人の場合も、実施的にその労働契約が引き続き6ヶ月以上になれば、年休付与の義務が生じます。

脱法行為として数日のインターバルを置き、再び雇用するような例もありますが、厚生労働省では「このような場合に継続勤務の事実が中断したとみられるか否かの判定に当たっては、契約更新時に間隔を置くことが年休の付与義務を免れるための脱法的意図でなされているものかどうかを考慮し、法の適正な運用が図られるべき」との見解を示しています。

有給の裁判員休暇、労働協約締結は6% 連合まとめ

2009年5月から始まる裁判員制度に向け、連合は有給の「裁判員休暇」に関する労働協約の締結を2008年春闘の方針に加えたものの、協約締結を妥結したのは傘下の単位組合約1万2000のうち、約6%に当たる741組合だけだったことが16日、連合の集計で分かった。

企業側に協約締結を要求した組合も10%未満にとどまり、連合は最高裁などに対し、裁判員休暇の創設を各企業に周知するよう要請している。

労働基準法は労働者が公務のために必要な時間を請求した場合、企業側は拒めないと規定。裁判員法も労働者が裁判員を務めるために休んだ場合などの不利益な扱いを禁じているが、休暇を有給とするのかどうかは法律に定められていない。

裁判員を務めた場合の日当は1万円以内、裁判員候補者として地裁に出向いた場合の日当は8000円以内とされる。1日当たりの賃金が各日当より高い人が無給で仕事を休めば収入減となる。

(NIKKEI NET 2008.8.19)

有休の取得率47.6% 前年より悪化

厚生労働省が平成27年に発表した就労条件総合調査によると、年次有給休暇の取得率は47.6%(前年比1.5ポイント減)で、15年連続で50%を下回った。企業が従業員に与えた年間の平均日数は18.4日だったが、取得は8.8日。

従業員30人以上の企業6302社を対象に調査し、4432社が回答した。

企業規模別の取得率は1千人以上では52.2%だったが、300~999人は47.1%、100~299人は44.9%、30~99人は43.2%にとどまった。業種別では電気・ガス・水道業が69.8%で最も高く、宿泊業・飲食サービス業が32.2%と最も低かった。

厚生労働省 平成27年就労条件総合調査の概況より


年次有給休暇の繰り越し

請求権は2年間有効

労働基準法で規定されている労働者の年次有給休暇請求権は2年間有効ですから( 労働基準法115条)、与えられた年にとらなかった年次有給休暇は、翌年に限りとることができます。

年度内にとらなかった年休については、 労働基準法第115条の規定により2年の消滅時効が認められる。

(昭和23.12.25 基発第501号)

問題は、年休の繰り越しを認めた場合、労働者が繰り越した年休と当年度の年休との双方を有することになるので、いずれから時季指定すべきかはっきりしないことにあります。

この点については、裁判例も解釈例規も見あたりません。

原則として労使の合意によるものとなるでしょうが、これがないときは使用者が指定することも可能です。

つまり、就業規則などにより、利用する場合は新規に付与されたものから消化するように決めることもできるのです。

使用者による指定がない場合は、当該年度分から指定されるとする見解が有力といえますが、反対説もあります。

いずれにせよ、就業規則などで、時季指定の順番を明確にしておくことがよいといえるでしょう。


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