労働時間の対象から除外される者

農業や水産の事業に従事する者

この種の事業がその性質上季節や天候等の自然条件に左右されるため、法定労働時間および週休制になじまないと考えられるからです。

もっとも、林業は従来より指摘されてきた労働者の法的地位の不安定などが考慮され、適用除外の対象からはずされました。


監督若しくは管理の地位にある者(監督管理者)

一般的には、部長、工場長等がこれに当たると思われます。しかし、監督管理者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであるとされています。

したがって、企業が人事管理上あるいは経営政策上の必要等から任命する職制上の役付者であれば直ちに認められるというわけではありません。

重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も実態を判断して労働時間等の規制になじまないといえる者に限られます。また、給与や役付手当やボーナスも、一般労働者に比してその地位にふさわしく優遇されているか、にも留意する必要があります。

なお、本社の企画、調査等の部門に配置されるスタッフ職については、処遇程度によって本号該当と認められるとされています。

アイテックジャパン事件 東京地裁 平成15.8.18

原告の社内での肩書きは課長であり、その業務は社長の指揮命令下でシステム開発および運用を行うことであって、取締役としての職務を行ったことはないことが認められるので、未払賃金の請求を認容する。


機密の事務を取り扱う者

秘書その他職務が経営者または監督もしくは管理の地位にある者の活動と一体不可分であって、厳格な労働時間管理になじまない者であることとされています。

週40時間労働制限、高収入社員は撤廃 労基法改正検討

労働時間制度の見直しを議論している厚生労働省の研究会(座長・諏訪康雄法政大学教授)は25日、これまでの管理職に加え、一定以上の収入や権限のある労働者を、1日8時間・週40時間の労働時間規制から外す新制度の導入を盛り込んだ報告をまとめた。

これを受け、同省は労使代表も含めた審議会の議論を経て、07年にも労働基準法の改正を目指す。

成果主義などで自律的に働く人が、出退勤時間などに縛られず働けるようにする狙いだが、長時間労働や過労死の増加を懸念する声もあり、議論を呼びそうだ。

対象者は、業務量を自分で決められる「管理職手前の中堅社員」や「プロジェクトチームのリーダー」ら。

報告では、

(1)仕事の進め方で指示を受けず業務量をコントロールでき、成果で賃金が決まる

(2)一定水準以上の年収があり、本人が同意している

(3)過労を防ぐ健康確保措置がある

(4)導入は労使協議で合意する

――の4点を条件とするよう求めている。

具体的な金額は各企業の労使で決める。企業側は、残業代などの割増賃金を支払う必要がなくなる。

労働時間規制を巡ってはこれまで、人事や労務管理に決定権がある企業の部長ら「管理監督者」や、研究開発や企画立案などの業務で、実際の労働時間にかかわらず一定時間働いたとみなす「裁量労働制」の人は、対象外だった。

企業側から対象の拡大を求める声があった一方、労働者側からは権限がない人にまで適用され、過労死や不払い残業につながるとの指摘があった。

報告では、対象者の要件を明確にし、既存の制度と整理・再編することを提案している。

また報告では、04年度で取得率が46.6%と低迷する年次有給休暇について、現行のように労働者に任せるのではなく、企業側に具体的な取得日の決定を義務づけさせ、確実に消化させることも盛り込んだ。

研究会の報告を受けて連合は25日、「過労死・過労自殺が社会問題となっている中で、適用除外の拡大は長時間労働を助長することになる。導入は大きな問題だ」とする談話を発表した。

(asahi.com 2006.1.25)


監視又は断続的労働に従事する者

通常の労働者と比較して労働密度が疎であり、労働時間、休憩、休日の規定を適用しなくても必ずしも労働者保護に欠けるところがないからであるとされています。

ただし、「監視又は断続的労働」であっても適用除外となるためには、「使用者が行政官庁の許可を受けたもの」に限られることに注意してください。

具体的には、事業場を管轄する労働基準監督署長の許可(労働基準法施行規則34条)がなくてはなりません。

もし、許可がなければ、時間外や休日、深夜の割増賃金、法定休日、休憩等が通常通り適用になります。

これは、「宿日直又は日直の勤務で断続的な業務」(労働基準法施行規則23条)についても同様です。

共立メンテナンス事件 大阪地裁 平成8.10.2

寮管理人が監視・断続的労働に該当するか否かにつき、その労働実態にかかわらず、労働基準監督署の許可を受けていない以上、これを監視・断続労働とすることはできず、労基法の労働時間及び休日に関する規定の適用があるとされた。

同旨、関西千歳サービス事件 大阪地裁 平成13.9.28

本来の業務としてなされる宿日直勤務は、職務内容からみて監視断続労働と見られることが多いのではないでしょうか。

そうだとすると、施行規則34条による許可があるか問題となります。

断続的な宿直・日直業務(規則第23条による許可)

ここでいう宿直又は日直業務で断続的な業務とは、本務に関する労働時間に引き続いて、または、休日になされる勤務の一態様であって、本務とは別個の、構内巡視、緊急の文書や電話の収受又は非常事態に備えて待機するもので常態としてほとんど労働する必要のない勤務です。

労基署長の行う許可については、以下が必要です。(昭和22.9.13 発基17号、昭和63.3.14 基発150号)

(1) 「勤務の態様」
(2) 「宿日直手当」(原則同種労働者一人1日の平均額の1/3を下らないこと)
(3) 「宿日直の回数」(原則日直月1回宿直週1回以内)
(4) 「その他」(宿直勤務については、相当の睡眠設備の設置)の各項目の基準をすべて満たしていること

勤務の態様

イ 常態としての、ほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるものであり、定時巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するものであること。

ロ 原則として、通常の労働の継続は許可しないこと。したがって始業又は終業時刻に密着した時間帯に、顧客からの電話の収受又は盗難・火災防止を行うものについては、許可しないものであること。

なお、これによる許可は勤務体制の見直しにより激減しているといわれています。


携帯電話で呼び出す場合

従業員に携帯電話を持たせ、トラブル発生時に顧客元に急行させるような場合があります。

一定場所での待機命令ではなく、何をしていても自由ですから、拘束の度合いは低いと思われます。

したがって、賃金が支払義務を負わないと見るのが自然ですが、呼び出しが頻繁に行われるようであったり、いかなる場合でも馳せ参じることが義務付けられており、急行しなかったことに対する制裁がある、というケースでは、何らかの報酬が支払われなければならないと考えられます。

もちろん、呼び出し先で業務を行った時間は、勤務時間に該当します。


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