労働時間の一般的な許可基準

監視に従事する者

「監視に従事する者」は、原則として、一定部署にあって監視するのを本来の業務とし、常態として身体又は精神的緊張の少ないものについて許可すること。(昭和22.9.13 基発17号)

したがって、次のようなものは許可しないこととされています。

(1) 交通関係の監視、車両誘導を行う駐車場等精神的緊張の高い業務
(2) プラント等における計器類を常態として監視する業務
(3) 危険又は有害な場所における業務

断続的労働に従事する者

断続的労働に従事する者とは、休憩時間は少ないが手待時間は多い者の意であり、その許可は概ね次の基準によって取り扱うこととされています。(昭和22.9.13 発基17号、昭和23.4.5 基発535号、昭和63.3.14 基発150号)

(1) 修繕係等通常は業務閑散であるが、事故発生に備えて待機するものは許可すること。
(2) 寄宿舎の賄人等については、その者の勤務時間を基礎として作業時間と手待時間折半の程度まで許可すること。ただし、実労働時間の合計が8時間を超えるときは許可すべき限りではない。
(3) 鉄道踏切番等については、1日交通量10往復程度まで許可すること。
(4) その他特に危険な業務に従事する者については許可しないこと。

以上から、例えば、新聞配達員、タクシー運転手、常備消防職員は許可されません。

断続的労働と通常の労働とが混在・反復する勤務に従事する場合は、状態として断続的労働に従事する者には該当しません。

また、実労働時間の合計が8時間を超えるときは、「断続的」には該当しないとされています。(昭和22.9.13 基発17号、昭和23.4.5 基発535号)

ビル管理などの「仮眠時間」についても、労働義務からの解放が不十分だと、労働時間と見なされる場合があります。

オークビルサービス事件 東京高裁 平成16.11.24 東京地裁 平成15.5.27

マンションの夫婦住み込み管理者として働いていた。所定労働時間は午前9時から午後6時だったが、それ以外にも早朝や夜間のゴミ置き場の開閉、管理人室の照明点消灯等の業務を行うよう指示されていた。また、日曜日や休日についても平日と変わらない勤務常態であった。

しかし、その一方で、通院や犬の散歩など、私生活としての職場離脱もあった。

そうした中、夫が死亡。午前7時から午後10時までの労働時間に対する時間外手当等の請求がなされた。

裁判所は、不活動時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間にあたる。日常行動(日用品の買い物等)があっても、それが長時間にわたるものでない限り、指揮命令権が及んでいるとみて差し支えない、とした。

マンションの住み込み管理人の業務は、一つひとつが短時間でも断続的であり、待機時間も含めて管理会社の指揮命令下であるともいえるから、時間外業務について、会社は643万円(+遅延利息)を支払う必要がある。

青梅市(庁舎管理業務員)事件 東京地裁 平成16.6.28

庁舎管理業務員は勤務時間終了後も、退庁者確認と巡回、戸籍・埋葬許可関連届の受付、電話収受、防災関連の確認等の業務を受け持っていた。市は実作業については時間外手当を支払ったが、仮眠時間には宿日直手当2000円が支給されるのみだった。

裁判所は、仮眠時間等、実作業をしていない時間であっても、場所的拘束を受け、使用者の指揮命令下に置かれている時間は、労働時間であるとした。

ただし市条例により、仮眠時間については宿直手当が支給されることとなっているので通常の賃金を請求する権利は存在せず、通常賃金を基礎に算出した時間外割増分と深夜割増分の請求権のみが存在するとし、時効にかからない約196万円の支払いが命じられた。

関西警備保障事件 大阪地裁 平成16.3.31

警備員らの拘束時間中の休憩時間(拘束15時間中5時間)が労働時間に当たるかどうかが争点となった。

会社は、

(1)警備員らは、夜間警報が作動した場合の対応や定期巡回の業務に当たるが、拘束時間は長いものの、巡回にでかける時間や本部管制から連絡を受けて出動した出勤は1日に1度あるかないかであり、拘束時間として特定できるものではないというのが実態であり、この間は自由に使うことができる。

(2)警備員の勤務実態を踏まえ、拘束手当として月額1万2000円を支給している。

と主張した。

裁判所は、会社の主張を退け、警備員が携帯電話を持って待機し、要請に即応することが求められていたこと、拘束時間中、食事時間を除き労働からの解放が保障されているとはいえないことから、従業員らの時間外手当請求を認容した。

ビル代行事件 東京地裁 平成16.1.30

ビル警備員について、夜間警報発生時に「仮眠中の人を起こす時間帯」における「起こされる」人が決められていた。

これについては、労働契約に基づく義務として指定された仮眠場所に置ける待機と、警報によって受付業務中の者から起こされて直ちに受付業務を代替することが義務づけられていたと認められる。

よって、この時間は不活動仮眠時間も含めて会社の指揮命令下にある労基法上の労働時間に当たり、約1年6ヶ月間における仮眠時間につき、「起こされる人」に該当する249時間分の割増賃金請求が認められた。

大星ビル管理事件 最高裁 平成14.2.28

仮眠中に「仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相応の対応をすることを義務付けられている」仮眠時間は「不活動仮眠時間も含めて被上告人の指揮命令下に置かれているものであり、本件仮眠時間は労基法上の労働時間にあたるというべきである」として、原審判断を支持した。

「仮眠時間は労働時間」割り増し賃金訴訟で最高裁

宿直勤務の際の仮眠時間が労働時間に当たるかどうかをめぐり、大手ビル管理会社「大星ビル管理」(東京・中央)の従業員10人が手当ての支払いを求めた訴訟の上告審判決が28日、最高裁第一小法廷であった。

井嶋一友裁判長は「仮眠時間中も会社の指揮命令下なので、労働時間に当たる」と述べ、会社側は労働基準法に基づく割増賃金を支払う必要があるとの判断を示した。

従業員側の代理人は「最高裁が仮眠時間を労働時間と認めたのは初めて」として評価している。

判決理由で井嶋裁判長は今回のケースは「仮眠室での待機と警報や電話への対応が義務付けられており、労働からの解放が保障されていない」と指摘。そのうえで「時間外・深夜手当を請求するには労使間の合意が必要」として、法定の深夜割増賃金と時間外賃金分だけの支払いを命じた二審判決の考え方を支持。

具体的な金額の算定には「さらに審理が必要」として、東京高裁に差し戻した。

(Nikkei Net 2002.2.28)

ビル代行(宿直勤務)事件 東京高裁 平成17.7.20 東京地裁 平成17.2.25

テレビ局の警備業務に就いていた従業員(4名)について、始業時間前に制服へ着替えること(5分)と朝礼へ出席すること(10分)、及び仮眠時間(4時間)が労働時間かどうか争われた。

一審の判断

仮眠時間中は、仮眠室における待機と警報や電話等に対し、直ちに相当の対応をすることが義務付けられていた。

仮眠者の対応が必要な作業として、不審者対応、救急車対応、浮浪者対応、よっぱらい対応、食堂からの発報、社員からの施錠依頼、駐車場の利用延長、紛失物、深夜の荷物運搬などがあった。

また、宿直1回当たり2,300円が特定勤務手当てとして支払われていたが、これは24時間勤務への対価であって、時間外賃金とは別のものであるとされた。

二審の判断

更衣時間5分、朝礼時間10分については労働時間だとされた(約19万円が認容)が、仮眠時間については、実作業への従事の必要が皆無に等しい(実際に仮眠者が出動したか否かが明らかでない)として、労働時間には当たらないとされた。

互光建物管理事件 大阪地裁 平成17.3.11

マンション住込み管理人の所定労働時間外に管理員居室に駐在していた時間は、一般人が自宅で過ごす時間と同様に、その自由な利用が許された時間であるといえるから、緊急事態への対応が義務付けられているからといって、それ以外の日常生活時間を緊急対応のための待機時間(いわゆる手待時間)と評価することはできないとして、その労働時間性が否定された。

日本郵便逓送事件 大阪地裁 平成16.4.28

予備の泊まり勤務で郵便物の集配等を行っている会社の臨時運転士について、仮眠時間が労働時間に当たるとされ、超過勤務手当など(合計207万円ないし82万円)の支払が求められた。

泊まり勤務は2暦日にまたがり、深夜時間に6時間以内の仮眠時間が設定されていた。

裁判所は、突発臨時便への対応を要する勤務と予備の泊まり勤務について、仮眠時間は労働時間として取り扱われるべきだとしたが、その事実を明らかにする客観的証拠が見あたらないとして、請求を棄却した。

こうした場合は、まず労働契約で定められた賃金が、仮眠時間を含めた賃金であるかどうか、労働契約書などで確認してください。

次に、労働基準法41条3号の「監視・断続的労働」として、所轄の労働基準監督署長の許可を受けて労基法32条の適用除外としての手続きが取られているかどうかを確認してください。

また、変形労働時間などが取られていないか、チェックが必要です。

関連事項:

休日・宿直
労働時間の適用除外


断続労働と通常の労働とが混在・反復する勤務

許可すべきではないとされています。

労働基準法第41条第3号の許可を受けた者については、労働時間、休憩及び休日に関する規定がすべて除外されるのであるから、その勤務の全労働を一体としてとらえ、常態として断続的労働に従事する者を指すのである。したがって、断続労働と通常の労働とが1日の中において混在し、又は日によって反復するような場合には、常態として断続的労働に従事する者には該当しないから、許可すべき限りでない。

(昭和63.3.14 基発150号)


派遣中の労働者の場合

派遣先が許可を受けていれば、適用除外できます。

派遣先の使用者は、労働基準法第41条第3号の許可を得て、当該許可に係る業務に派遣中の労働者を従事させる場合には、労働時間等の規定に基づく義務を負わない。なお、当該許可を既に受けている場合には、派遣中の労働者に関して別途に受ける必要はないこと。

(昭和61.6.6 基発333号)


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