改正労働基準法解説レポート

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企画業務型裁量労働制の決議(例)

決議(例)

○○株式会社本社事業場労使委員会は、企画業務型裁量労働制につき、下記の通り決議する。

(対象業務)
第1条 企画業務型裁量労働制を適用する業務の範囲は次の通りとする。

  1. 企画部で経営計画を策定する業務
  2. 人事部で人事計画を策定する業務

(対象労働者)
第2条 企画業務型裁量労働制を適用する労働者は、前条で定める業務に常態として従事する者のうち、入社して7年目以上でかつ職務の級が主事6級以上である者とする(就業規則第○上で定める管理監督者を除く。)

(対象労働者の事前の同意)
第3条 対象労働者を対象業務に従事させる前には本人の書面による同意を得なければならないものとする。この同意を得るに当たっては、使用者は、本決議の内容、同意した場合に適用される評価制度及び賃金制度の内容、同意しなかった場合の配置及び処遇について対象労働者に説明するものとする。

(不同意者の取扱い)
第4条 前条の場合に、同意しなかった者に対して、同意しなかったことを理由として、処遇等で、本人に不利益な取扱いをしてはならないものとする。

(みなし労働時間)
第5条 第2条に定める者のうち、第3条に基づき同意を得た者(以下「裁量労働従事者」という。)が、所定労働日に勤務した場合は、就業規則第○○条に定める就業時間に関わらず、1日8時間労働したものとみなす。

(裁量労働従事者の出勤等の際の手続)
第6条 裁量労働従事者は、出勤した日については、所定の出勤簿に押印しなければならない。

2 裁量労働従事者が、出張等業務の都合により事業場外で従事する場合には、あらかじめ、所属長の承認を得てこれを行わなければならない。所属長の承認を得た場合には、前条に定める労働時間労働したものとみなす。

(裁量労働従事者の健康と福祉の確保)
第7条 裁量労働従事者の健康と福祉を確保するために、次の措置を講ずるものとする。

  1. 裁量労働従事者の健康状態を把握するために次の措置を実施する。
    イ 所属長は、入退室時のIDカードの記録により、裁量労働従事者の在社時間を把握する。
    ロ 裁量労働従事者は、2ヶ月に1回、自己の健康状態について所定の「自己診断カード」に記入の上、所属長に提出する。
    ハ 所属長は、ロの自己診断カードを受領後、速やかに、裁量労働従事者ごとに健康状態等についてヒアリングを行う。
  2. 使用者は、1の結果をとりまとめ、産業医に提出するとともに、産業医が必要と認めるときには、次の措置を実施する。
    イ 定期健康診断とは別に、特別健康診断を実施する。
    ロ 特別休暇を付与する。
  3. 精神・身体両面の健康についての相談室を○○に設置する。

(裁量労働適用の中止)
第8条 前条の措置の結果、裁量労働従事者に企画業務型裁量労働制を適用することがふさわしくないと認められた場合又は裁量労働従事者が企画業務型裁量労働制の適用の中止を申出た場合は、使用者は、当該労働者に企画業務型裁量労働制を適用しないものとする。

(裁量労働従事者の苦情の処理)
第9条 裁量労働従事者から苦情等があった場合には、次の手続に従い、対応するものとする。

  1. 裁量労働相談室を次の通り開設する。
    イ 場所 総務部
    ロ 開設日時
    毎週金曜日 12時00分~13時00分と17時00分~19時00分
    ハ 相談員 ○○○○
  2. 取扱う苦情の範囲を次の通りとする。
    イ 裁量労働制の運用に関する全般の事項
    ロ 裁量労働従事者に適用している評価制度、これに対応する賃金制度等の処遇制度全般
  3. 相談者の秘密を厳守し、プライバシーの保護に努める。

(決議の変更)
第10条 決議をした時点では予見することができない事情の変化が生じ、委員の半数以上から労使委員会の開催の申出があった場合には、有効期間の途中であっても、決議した内容を変更する等のための労使委員会を開催するものとする。

(勤務状況等の保存)
第11条 使用者は、裁量労働従事者の勤務状況、裁量労働従事者の健康と福祉確保のために講じた措置、裁量労働従事者からの苦情について講じた措置、企画業務型裁量労働制を適用することについて裁量労働従事者から得た同意に関する労働者ごとの記録を決議の有効期間の始期から有効期間満了後3年間を経過する時まで保存することとする。

(評価制度・賃金制度の労使委員会への開示)
第12条 使用者は、裁量労働従事者に適用される評価制度、これに対応する賃金制度を変更する場合、事前にその内容について委員に対し説明するものとする。

(労使委員会への情報開示)
第13条 使用者は、労使委員会において、裁量労働従事者の勤務状況、裁量労働従事者の健康と福祉確保のために講じた措置、裁量労働従事者からの苦情について講じた措置の情報を開示するものとする。

(決議の有効期間)
第14条 本決議の有効期間は、○○年4月1日から○○年3月31日までの3年間とする。

○○年○月○日

○○株式会社事業場労使委員会
委員 ○○○○ 印   ○○○○ 印
  ○○○○ 印   ○○○○ 印
  ○○○○ 印   ○○○○ 印
  ○○○○ 印   ○○○○ 印
  ○○○○ 印   ○○○○ 印

○○労使委員会は、労働基準法第38条の4の規定に基づき、裁量労働制の実施に関し、以下の通り決議する。

1. 対象業務

事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務の性質上、これを適切に遂行するためにはその遂行方法を大幅に本人の裁量にゆだねる必要があるため、業務の遂行手段及び時間配分の決定等に関し会社が具体的指示をしないこととする業務として以下の業務を対象とする。

(1) 経営企画部における経営計画策定業務及び社内組織編成業務
(2) 人事部における人事制度策定業務及び研修計画策定業務
(3) 経理部における財務計画策定業務

2. 対象者

1.の対象業務を担当する次の各号に該当する者で、本制度の適用について同意した者とする

(1) 職務経験3年以上、職能資格等級が○級以上の者で、所属長の推薦を受けた者であること
(2) 管理監督者でないこと

3. 同意

同意は、制度の概要、適用される評価制度、賃金制度、同意をしなかった場合の配置処遇をあらかじめ明示したうえで、個別社員ごとに書面によって得るものとする。
同意は決議の有効期間ごとに得るものとし、原則として有効期間途中での撤回はできないものとする。
対象者が本制度の適用に同意しない場合であっても、会社は、賃金処遇、評価、配置その他において不利益に取扱うことはない。

4. みなし時間

1日について8時間勤務したものとみなす。

5. 健康福祉確保措置

在社時間及び健康状況の把握は、1ヶ月に1回、自己申告表を職場の長に提出させることによって行うものとし、会社は、その勤務状況及び健康状況に応じ、本人と協議のうえで、次の特別休暇を付与するとともに、業務量の調整、業務日程の見直しを必要に応じて行うものとする。

(特別休暇)

対象者は1年に1回、年次有給休暇のほかに、健康の維持増進と業務遂行能力の向上を目的として連続休暇(有給5日)を取得することができる。ただし、取得時期については業務への影響を勘案し、本人の申請に基づき会社が認めた時期とする。

6. 苦情処理措置

対象者は、労働時間、評価制度、賃金制度その他の裁量労働制の実施に関する事項について、会社の「苦情相談窓口」に苦情を申し立てることができる。会社は、本人のプライバシーに配慮したうえで、苦情内容に関する実態調査等をし、必要な解決策を講じ、委員会に報告するものとする。

7. 評価制度・賃金制度の変更の事前説明

会社が裁量労働制にかかわる評価制度及び賃金制度の変更をする場合は、労使委員会に事前に説明するものとする。

8. 決議の変更

委員の半数以上から、決議の変更等のための委員会開催申出があった場合、有効期間の途中であっても、1週間以内に臨時の委員会を開催し、審議するものとする。

9. 記録の保存

会社は、労働時間の状況、健康福祉確保措置の状況、苦情処理措置の実施状況、同意に関する労働者ごとの記録及び本委員会の議事録を、有効期間及びその後3年間保存することとする。

10. 有効期間

本決議の有効期間は、○年○月○日から1年間とする。


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