改正労働基準法解説レポート

令和5年4月1日から、月60時間超の割増賃金率の引き上げが中小企業にも適用となります。
法改正による新制度の導入方法について、詳しく解説したマニュアルを無料提供しています。
サンプル条文や改訂例を参考に、就業規則の改訂を行ってください。

ケーススタディ

休憩時間中に電話当番を置くとき

来客の応対や電話の応対などは通常の業務であり、その労働のために当番として居残っているのはいわゆる手待ち時間であり、休憩時間とは見なされません 。(昭和23.4.7 基収1196号)

昼休み電話当番など、休憩の適用除外が必要な場合(商業サービス業などでは、そもそも一斉休息の適用から除外されています)、労使協定によりその旨、定めておくことが必要です。

ただし、当番制による昼休みの居残りを強制していない場合に、たまたま居合わせた従業員が電話を受けたり、来客の応対をしても、それが僅少な時間であって、労働者本人の自由裁量意思で行う場合には、労働時間に該当しないとされます。


慣行となっている休憩時間

労働契約や就業規則等には休憩時間となっていないものの、職場の慣行として事実上労働時間の途中で労働から解放される時間があり、それが事実たる慣習(民法92条)となるに至った場合は、確立された労働条件に該当することになります。

裁判では、職場慣行による休憩時間に当たるか否かが争われたケースとして、郵便の深夜伝送便に16時間勤務で従事している職員について、正規の休憩時間4時間に加え、夜食休憩・入浴休憩・早朝休憩等として1時間の休憩の取得が行われていた事案で、郵便局の管理者が慣行による休憩時間の存在を認めてそれにより労使関係を処理する意思を有していたといえないから、この実態は事実たる慣行としての効力を持たない、としたものがあります。(東京高裁 昭和52.7.19)

慣行による休憩時間は、労使間において一つの制度として確立された状況にあり、また労使双方が当然のこととしてこれを承認するに至ってはじめて、事実たる慣行として成立するといえます。


よくある問い合わせ

勤務時間が9:00~17:30で、昼の休憩が45分であるため、1日の就労は7時間45分であるのだが、就業後15分を超えて残業させると、就労時間が8時間超となってしまい、新たに休憩時間を15分与えなくてはならなくなる。

従業員も、わざわざ休憩をとって拘束時間を伸ばすのは、常識的ではない、と要望しているが、何らかの運用方法はないか。

労働基準法は強制法規でありますから、たとえ拘束時間が短くなるとはいえ、法律で規定された休憩時間を守らないことはできません。

当の労働者が了解していた場合も、これは同じです。

したがって、新たに15分間の休憩時間を与えることが必要です。

もちろん会社の規定を改正して昼の休憩を1時間とすれば、このような問題は発生しなくなります。

国家公務員の有給「休息時間」廃止 人事院規則改正へ

人事院は2日、国家公務員が勤務時間の合間に15分ずつ2回とれる有給の「休息時間」を廃止すると発表した。

代わりに無給の休憩時間を30分延長して60分間とするよう人事院規則を改正し、7月から施行する。

人事院規則では、労働基準法で定められた「休憩時間」(8時間労働で45分)とは別に、勤務時間中に「休息時間」(4時間の仕事で15分)を設けることになっている。

ところが、人事院が04年に実施した全国8000余りの民間企業(従業員約33万人)を対象にした調査では、同様の制度や慣行をもっている企業がほとんどなく、普及していない実態が明らかになった。

官民格差の是正のため、1949年の制度創設以来、57年ぶりに廃止することにしたという。

(.asahi.com 2006.3.02)


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