改正労働基準法解説レポート

令和5年4月1日から、月60時間超の割増賃金率の引き上げが中小企業にも適用となります。
法改正による新制度の導入方法について、詳しく解説したマニュアルを無料提供しています。
サンプル条文や改訂例を参考に、就業規則の改訂を行ってください。

有給休暇に対する賃金

有給休暇には、3つの選択肢がある

有給休暇に対し支払うべき賃金額については、次の3種類による計算方法を選ぶことができます。(労働基準法39条

どの方式をとるかは、あらかじめ就業規則に定めておきます。

(1) 平均賃金
(2) 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
(3) 健保法第3条の標準報酬日額(ただし、過半数労組または過半数代表者との書面協定が必要)

実務的には、有給休暇取得日の賃金について控除を行わないという方法で対処されることが多いようです。

休暇取得日の賃金がカットされない場合は、休暇相当分をわざわざ計算して充当する必要はありません。

労働基準法12条に定める平均賃金

有給休暇を取った日(給与の〆日がある場合はその日)以前3ヶ月間の賃金総額を総日数で割った金額。

ボーナスなど臨時の賃金は含みませんが、家族手当・通勤手当や残業代を含みます。

詳しくは:平均賃金

通常の賃金によって支払う

日給の場合 = その金額

月給の場合 = 月給額をその月の所定労働日数で割った額

健康保険の標準報酬日額

労使協定が必要です。


日によって労働時間が異なる場合(時間給を支給)

勤務時間が長くても短くても、有給休暇は1日単位で算定されます。

このため、賃金カットしない方法をとった場合、働く人間の気持ちからすれば、同じく1日分の有給休暇を使用するなら、長い勤務が割り振られている日に充当した方がトクになります。

平均賃金方式をとった場合、賃金カット後、平均賃金額などにより充当されるとすれば、短い勤務時間の日(=カット額が少ない)に休暇を取り、平均額で充当されれば、その方がトクになります。

いずれの場合でも、有給休暇の指定日の設定によって得失が生じますが、変則的な労働時間制を採用した以上、こうしたことが生ずることが避けられなくなります。

労働者の逆選択を防ぐには、1日の所定労働時間の極端な長短を少なくするしかないことになります。


ページの先頭へ