1年単位変形労働時間制の導入のための要件
労使協定
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、それがない場合は、労働者の過半数代表との間に書面による協定を締結することが、この制度導入の前提となります。
したがって、労働者の過半数を代表する者が賛成しないと導入できないことになります。
協定の相手方は、過半数組合が企業内単一組合である場合には、当該組合と会社と単一協定でいいのですが、労働基準監督署長への届出は各事業所単位で行う必要があります。
また、全社的には過半数組合がある場合であっても、特定の事業場では過半数を占めていないときは、その事業場だけ単独で協定を締結しなければなりません。
協定の内容
対象労働者の範囲
対象労働者の範囲について制限はありませんが、その範囲は明確に定める必要があります。
1年単位の変更労働時間制を採用する場合には、労使協定により、変形期間における労働日および当該労働日ごとの労働時間を具体的に定めることを要し、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度は、これに該当しないものであること。
(平成.6.1.1 基発1号)
雇用期間の定めのある労働者で、雇用期間中で定年退職・配置転換などにより、中途で対象からはずれる者に対しては、どのように清算するかを定めることが求められています。
勤務期間が対象期間に満たない途中採用者・途中退職者にも、賃金の精算を条件にこの制度の適用が認められていますが、年少者は1週48時間、1日8時間を超えた変形労働時間は適用できません。
また、妊産婦が請求した場合にも、適用できません。
育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練または教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるように配慮しなければなりません。
対象期間及び起算日
対象期間は1ヶ月を超え1年以内の期間に限ります。
対象期間が1年以内なら、3ヶ月、4ヶ月、半年などの対象期間を採用することは可能です。
また、対象期間を単に「1年間」としたような場合には、当該期間の起算日を記載する必要があります。
従って、1年とか6ヶ月という決め方では不十分で、4月1日から1年間というふうに決めておく必要があります。
特定期間
特定期間とは、労使協定により、対象期間のうちで特に業務が繁忙な時期として定められた期間をいいます。
労働日数の制限
1年単位の変形労働時間について、対象期間が3ヶ月を超える場合、労働日の限度が定められています。
労使協定の有効期間
労使協定の有効期間は対象期間より長い期間とする必要がありますが、1年単位の変形労働時間制を適切に運用するためには、対象期間と同じ1年程度とすることが望ましいでしょう。